深蒸し茶

2014年3月 茶況_No.298

平成26年3月31日

茶園は27日と30日のまとまった雨で潤い良好です。茶畑では茶農家の方が、春肥や芽出し肥などの管理作業を続けています。また資機材や防霜ファンの点検、工場の大掃除や機械の整備などで新茶期前の準備に大わらわです。各地区では生産者大会を開き表彰や研修会を実施しています。研修会では近年多発している凍霜害の原因について発表がありました。乗用型摘採機に合うように茶園の摘採面を水平にしていることが要因のひとつであるとのことです。従来のかまぼこ型の茶園よりも水平の茶園は天空に熱が抜けて放射冷却しやすいとの解説でした。茶園振興策として、①茶園の基盤整備と改植 ②特徴あるお茶の製造 ③茶工場の経営安定の3点を確認・決議して士気を高めます。 産地問屋は冷蔵庫の整理や機械の点検など、新茶期に向けた準備を進めています。また生産者や消費地との情報交換を進め、消費動向に合った仕入計画を立てます、リーフ茶需要の低迷により茶商の買い気が弱く、必要最小限の仕入れにとどめるといった弱気の声も聞かれます。掛川茶市場も平成4・5・11年のピーク時は48億円の取り扱いがありましたが、最近の5年は25億円と約半分の取扱金額となっています。ということは各産地問屋の売上金額もピーク時の5割から6割になっているということです。約30年前の1982年に発刊された「朝日くらしの風土記」を読み直していましたら興味ある記事に出会いました。「茶の消費量が年々減少している現状への危機感が生産者・流通業者の間に深く浸みこんでいる。伝統ある日本茶の将来は、けして明るいものではない。茶離れは消費者の生活習慣の変化によるものとかたづけるはたやすいが、その前にもっと考えなければならない問題が山積している。もっと高い満足感を持って飲みたいと思っている人がほとんどのはである。そこが茶離れに対応する道の出発点になる」30年前から消費者の茶離れを心配し、有効な手を打てないままの危機感と焦りを感じていたのです。早急に次の対策を講じないと、窮地に追い込まれそうです。

消費地では店頭やDMによる「新茶予約受付」を開始しています。そして4月1日の増税後の対応準備を忙しくしています。税抜・税込と各お店の対応は違いますが、法律で禁じられた表示もありますので注意しています。増税前に1~2本多めにお買い求めいただくお客さまもありますので3月は前年比10%増くらいになりそうです。外食は増税の影響を受けやすいことから牛丼業界は価格戦略がハッキリと分かれました。大手3社の価格は280円で横並びでしたが、4月1日からはバラバラになります。「すき家」は増税による節約意志が高まるとみて270円に値下げして集客を図ります。「吉野家」は質を高めることで増税分以上の20円を上乗せして300円にします。「松屋」は増税分10円のみ上乗せして290円にします。増税に対応して各社が知恵を絞りますが、その結果は1~2か月後に出ます。楽しみです。 生産者の皆様へ*新茶初取引は昨年より一週間程度遅い4月21日~23日頃になりそうです。初取引日より、当社拝見場にて朝5時より仕入いたします。

*4月10日(木)よりNHK木曜時代劇「銀二貫」が連続9回放映されます。なにわ商人のええ話でおます。ぜひご覧ください。

 

気高く、強く、一筋に

 

 現在、景気は回復傾向にあるといわれています。賃金をアップさせる企業が相次ぎ、景況好転への期待が感じられますが、必ずしも実体経済の回復を伴ったものとは成っていないのが現実です。実体経済との関連において解せないと感じている方も多いのではないでしょうか。日本企業の収益構造をみますと利益の多くは海外から上がっていることが分かります。円安になったことで原料が上がり国内生産では利益が上がりにくくなっているからです。国内で稼いだ利益と考えないので、今までは国内の社員の給料もなかなか上がりませんでした。アベノミクスにより一部の人の収入が上がり、高額品を買う状況が起きていますが、年収200万円以下で働く人は労働人口の34%にのぼり、ものすごい勢いで国内の格差と貧困が起きているのです。多くの人は収入が増えないといういらだちの中で消費税が引き上げられますので、増税後の買い控えにより、かなり厳しい状況が予想されます。企業は円安により輸入原料が2割近く上がっていますが、そのまま価格転嫁してしまうと売れなくなってしまうかもしれないという不安があり、上げたくても上げれないという構図があります。企業間競争はますます激化して、勝ち残るためには収益構造は、ますます悪化しています。そんな中、経営者は何をすればいいのか悩みを深めています。こうした「変化の時」こそ、事業計画の立て方に十分気を付けなければいけません。一番大事なことは「基本に忠実」であること。当然の話と思われますが、これが実は、なかなか難しいことなのです。景気が少し上向くと世の中が浮足立って来て、派手な計画を打ち上げたり、新たな戦略を始動させて攻めのビジネスに突き進む企業も多く見受けられます。この時こそ、周囲につられず、脇を締めることが肝心です。まずは自社の足腰がしっかりしているか基本を見直すことが大切です。例えば店舗での基本3原則が徹底できているか。「接客態度・清掃・品揃え」の基本がなっていなければいくら応用をやってもうまくはいきません。かといって慎重になりすぎるのはよくありません。何でもやってやろうとするのではなく、「何をやり、何をやらないか」をよく考えて、ここぞという時に積極的にチャレンジすることが経営の基本ではないでしょうか。これからは常に問題意識を持ち、選択する目が問われます。今成長のためにやるべきことは何か?大きく2つあると思います。1つは「人口減と高齢化」は不変の大きな流れになっていますので、それにマッチするように展開し商売することです。2つ目は本業の「質」を磨くこと、そして自社の強みを生かすことです。新技術・新商品・新市場の開発を通して、「不」を解消し、「あったらいいな」をつくりだす。目新しさだけに引かれて異業種に参入したところで長続きはしません。「基本と挑戦」を両立させ、地に足がついている企業が最後には勝ちます。浮かれてはいけないと気を引き締め直すことが大切です。思想家の中村天風の教えに「新しき計画の成就は、ただ不とう不屈の一心にあり。さらばひたむきにただ思え、気高く、強く、一筋に」の言葉があります。この言葉は、まさに岩をも通すような信念の重要性を端的に示しています。会社を成長させるためには「強烈な信念と強烈な思い」こそが全ての物事の基本、この基本の徹底が、強く求められる時代に入ります。多様なことを求め始めるお客様に最良の「満足と喜び」を感じてもらえるお店にならなければ、これからは生き残れません。改めて気を引き締め、考える時代の到来です。