深蒸し茶

2014年5月 茶況_No.299

平成26年5月29日

一番茶の生産を終えた茶園では二番茶に向けた管理作業が進められています。そして茶園をこまめに巡回して病害虫の発生を警戒します。クワシロカイガラムシの防除適期にもあたりますので丁寧に茶の木を観察して早目の対策を徹底しています。また樹勢の強い園を目指して経営面積の2~3割程度の茶園を中切り・深刈り更新しています。深刈りされますと茶の木は枯れないように根を強く張って生きようとしますので茶の木には力がつきます。二番茶を摘採することはできませんが、来年の一番茶には深刈りされた後の太い枝から元気の良い新芽が出てきます。昨年の二番茶は増産だったために在庫が消化しきれずに残っていますので二番茶のムードは決して良くありません。そのために中刈り・深刈り更新を実施する茶農家は例年以上に多く見受けられます。今年の新茶は霜の害もなく順調に推移すると期待していましたが、昨年夏の干ばつと、今年の4月の異常低温、夜間の低温推移により、お茶が風邪を引いたような状態で力がなく4月中のお茶は色が乗り切らない製品が多く、内容に満足のいくものが少なかったように感じられました。5月に入ってからは適度な雨と気温と日照にめぐまれて茶園の色も良くなり水色・味・香りともに乗ってきました。1500円売以上のものは内容不足でしたが、5月に入ってからの1000円売以下のものにつきましては例年以上に満足のいく内質ではないでしょうか。

産地問屋は仕入した一番茶の整理と管理作業を進めながら、仕上と発送作業を精力的に進めています。昨年より新茶の出始めが遅くなったこと、増税後の反動と重なり4月の売上は極端に落ち込み心配されました。5月に入って新茶生産も本格化して持ち直し例年並みに順調に出荷も進み安堵しています。しかし結果は厳しく4・5月の合計で前年比7%減位になりそうです。昨年も確か7%減でしたので毎年毎年新茶期の売上減に歯止めがかからない状況が続きます。 消費地では「新茶セール」も終わり「お中元商戦」の準備を進めています。夏本番を前に「水出し煎茶」をメインにガラスポットとのセット商品などを前面に出して薦めていきます。新茶商戦も昔のような新茶期ムードにはほど遠く厳しい商戦を強いられていますが、予約新茶につきましては前年並みの数量を確保できたお店が多いようです。熱心な営業努力の結果です。これから夏に向けて「水出し煎茶」や「ロックティー」の呈茶をしながらサッパリした冷茶を店頭で宣伝して冷たいお茶の良さをアピールしていきます。

お中元に最適!! 水出し煎茶ができました

「水出し煎茶」の原料は水出し専門の茶葉を使用して製造しています。

水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格450円 30本入

生産者の皆様へ

1、二番茶の仕入は6/16頃AM6:00より当社拝見場にておこないます。

2、仕入基準は①色沢のよいもの②水色のよいもの③夏茶臭・コワ葉臭のすくないもの。

3、梅雨時期と重なりますので、雨による中断を考慮して製造してください。

 

価 格 帯

 

今年の新茶は4月22日の初取引日よりスタートしました。前年が15日でしたので1週間遅い開始となりましたが、平年並みの幕開けです。異常気象の影響から、4月は想定外の冷え込み、夜間の低温により新芽の生育が抑えられ、改めて防寒対策が大きな課題となりました。特に乗用型の茶園になってからは茶の木の摘採面を昔のカマボコ型から水平な摘採面にしますので茶園の上部に冷気が滞留したり、熱が天空に抜け放射冷却しやすいのか、昔に比べて毎年毎年被害が大きくなっているように感じられます。茶の木は声を発しませんが、寒いからふとんを一枚掛けてくださいと叫んでいるのかもしれません。当社の一番茶仕入価格帯は下記のとおりです。

前年対比仕入K数  108%      仕入金額  103%

仕 入     比 率 前年対比(平成25年を100とした場合)
2000円 売以上   0.8 %

1500円 売      3.2 %

1200円 売     5   %

1000円 売      11  %

800円 売    27  %

600円 売    22  %

500円 売     25  %

400円 売        .6  %

217 %

78 %

108 %

76 %

99 %

146 %

104 %

186 %

100 %

 

掛川茶市場の取り扱い数量は541千kで前年比103%、取り扱い金額は92%となっています。急須で飲む消費が年々減少傾向にあり、上級茶の必要量も年々減少してはいますので価格帯も中級茶以降に膨らむ傾向にあり、その結果、平均単価が下落するという悪循環です。高齢化と茶価の低迷により閉鎖する工場、廃業する茶農家が相次ぐ状況です。平年比では減産にも関わらず市場には不足感がなく、盛り上がりを欠いた取引に終始しました。業界の生き残り策として「消費を増やすか、生産を減らすか」のどちらかしかないとの意見も出始めています。静岡県の「茶の都しずおか」検討会では、日本一の 茶産地の特徴を生かし、お茶のある豊かで健やかな暮らしを実感できる県づくりを目指します。お茶と和食文化の融合や健康長寿の推移などに取り組み、お茶の一大拠点にすべく構想を練ります。掛川市でも新たに「お茶振興課」を新設して掛川茶の消費拡大を目指しています。生産者・茶商ともに期待していますが、「戦略」は行政で立てても「戦闘」は各社の戦い方次第ということになります。昨年の5月の産地情報に「今年の生産量で不足感がなく経過したら恐ろしい状況」と書きましたが、その恐ろしい状況が現実のものになってきました。消費地と情報交換しながらこれから二番茶の仕入計画を立てます。