深蒸し茶

2014年2月 茶況_No.297

平成26年2月24日

先々週14日から関東地方の各地で記録的な大雪により荷物の遅配が続きましたが、今週からは正常に戻りました。買い物も雪で出られないためにお店への影響も甚大です。

2週間にわたった大雪被害で関東地区の個人消費が2千億円減ったとの試算も出ています。農業の被害総額は10都県で約255億円にのぼりました。静岡県は富士山周辺と長野県境の山間地の一部で降雪がありましたが、中部・西部地区は雨と風で済みほっとしました。したがって茶園への雪の被害はありません。静岡県が推進する「茶業経営体質強化プロジェクト」の研修会が静岡市で開催されました。2000年には生産量が静岡44%、鹿児島20%でしたが、2013年は静岡38%、鹿児島30%と両県の差は縮まっています。静岡県の茶業を守るために何ができるのか、何をすればいいのか、行政・農家・茶商が一緒になって体質強化策を学びます。県が推進するプロジェクトでは、①茶農家の再編 ②茶園の共同管理 ③栽培技術の向上 ④低コスト生産 ⑤複合経営(レタス・キャベツ・山芋・ショウガ・ニンニク・・)の実践などが主な内容です。茶園の集積にも取り組んでいますが、広い茶園にまとめるのに苦労している現状も報告されました。

産地問屋は2月決算の会社が多く、在庫の管理と整理を進めています。ここへきて仕事が少なく、仕上機械が動く日は週2~3日と少ないため、袋詰作業や出荷作業が主な仕事になります。大雪の関係もあって2月の出荷は大幅にダウンしました。産地問屋間の荷動きも、ほとんどありません。「荷動きは静かで、先行きに大きな不安を感じる」と、ため息まじりの声も聞かれます。昨年の一番茶生産が28%の大幅減産にもかかわらず県内には不足感が感じられません。原因としては、消費者の飲料嗜好が多岐にわたり、急須で入れるリーフ茶市場の縮小が鮮明になっているからです。一世帯あたりの緑茶購入量は1970年の2000gをピークに下落基調が続き2000年以降は1000gを割り込んでいます。茶業界は「急須離れ」が進む実態を踏まえ、生産・消費戦略の両面で変革を迫られています。ティーバッグや粉末茶など現代の消費者ニーズに合わせ、売れるお茶を供給する態勢づくりが急務です。

消費地では消費増税前の売出しを実施しているお店もあります。全国的に2月の売り上げ不振を感じますが、関東地区の小売店さんは雪の影響もあり、大幅ダウンを強いられそうです。スーパーでは4月の消費増税に向け、店頭の価格表示を税抜の本体価格(外税)中心に変更するお店がでてきました。税込の総額表示が義務化されて以来10年振りの税抜表示の復活となります。また大きな大手スーパーは消費増税前に駆け込みで商品を買おうという消費者を取り込むために長く保存できる商品セールを始めました。利用者が税額を計算しながら買い物をする姿も見られます。事前にチラシや店内ポスター「当店の価格表示は本体価格(税抜価格)です。消費税分はレジにて精算させていただきます。」で表示変更を告知していたこともあり店頭の混乱は見られませんが、レシートを見て、どうして店頭の表示価格と支払う額が違うのかといった問い合わせもあります。内閣府が発表した景気ウオッチャー調査によりますと2~3ヵ月先の街角景気が大幅に悪化しています。増税後の駆け込み需要の反動や消費者心理の冷え込みにより販売が大幅に低迷するのではないかとの懸念からです。お茶の小売店さんでは駆け込み需要は見られない代わりに、増税後の大幅悪化も無いようにしてもらいたいものです。

 

徹底した価値の追求が好調の基盤

 

都会でも地方でも、どこに行っても繁盛しているお店はあります。そして、どんなお店でも、どんな品揃えでも、そこには売る側の気持ちが表れています。その表れているオーラをお客様は敏感に感じて、これからも何度もお店に来て買うか、一度だけでやめてしまうかを決めます。それは売る側の意志や思いを感じるからです。必ず買う側の気持ちと売る側の気持ちが一致していないと商売は成立しません。そこにはお店の大小や売上高の多少など規模の概念は関係ありません。お客さまの立場で考えた対応ができているか、お客さまの気持ちをつかむ商いの基本は徹底しているか。それさえできていれば、良い時代が到来していると言えます。これからの経営者は多難です。かつての商人はよく働きました。身を粉にして働きました。そして、それが美徳とされていました。それがいつのころか「効率」という名の下「売る側の視点」が優先され始めてから業績は落ち始めます。消費者の目線と少しずつずれていくうちに消費者のニーズをとらえられなくなるからです。いつも「お客さまの立場」で考えて経営しているお店は、これからもお客さまの支持を得ることができるでしょう。商売の流れを見極めることはとても重要です。山あり谷ありの時代の流れですが、今は次の時流へ向かい始めていることが分かります。その大きな流れの中で、モノがあふれて家のタンスや押し入れや靴箱もモノでいっぱいになっています。食べる物も美味しい物が至る所にあり、それらを何不自由なく24時間買うこともできます。便利になればなるほどお客様の要求は高くなり、そこにきめ細かく対応できるかが勝販の別れ目となります。きめ細かく対応してお客さまの気持ちをつかむことが大切になります。お客さまの気持ちをつかむためには当たり前のことを当たり前にできるかが重要です。セブンイレブンの6つの当たり前がたいへん参考になります。①「変化への対応と基本の徹底」世の中は常に変化している。お客さまは、それに合わせてもっと変化している。基本をきちんと身に付けて対応していかなければならない ②「怖いのは思い込み」冬場にアイスクリームは売れないと思い込んでしまうと現在の冬場の住宅事情を理解できずに販売チャンスを見逃してしまう ③「品切れは率ではなく数で捉える」商品アイテムが増えると品切れが多少あってもいいと考えてしまうが、大きな店ほどその数は少なくなければお客さまの信用を落とす ④「当たり前のことをつなげていく」メーカーから得た商品事情にお客さまから得た販売時点での情報を付加し積み上げていくことで販売量がぐんぐん伸びる ⑤「掃除の大切さ」年に一度大掃除をするのではなく、大掃除しなくてもいいように毎日きれいに保つ ⑥「目玉商品では売上は上がらない」目玉商品は目を引き付ける商品であり、本来は定番商品をいかに売り上げることが出来るかが重要である。

お客さまが店に来る理由は、そこにある商品を買うためです。売り場には、お客さまが欲しい、または必要と思う商品を陳列します。自分で選び抜いて仕入れた商品をお客さまに買っていただく。いいモノかどうかはお客さまが判断してくれます。その思いがきちんとお客さまに伝わればいいモノと評価されて売れます。つまり売れているモノがいいモノという評価です。店や売り場に陳列してある商品の品揃えは、常にお客さまに対する主張となります。その主張に商人としてのプロ意識、正直さや誠実さ、お客さまに対する思いやりなどの気持ちがプラスされます。いい商品、いい売場づくりを進め、お店のファンを増やして売上げを伸ばす。重要なポイントは価値ある商品であること、そして商品を大切に扱うこと。大切に扱わない商品は粘りがなく、鮮度を失っています。商品を大切に扱うための基本は掃除です。掃除を徹底することによってオーラが増します。これからは価格訴求の戦いではなく徹底した価値の追求が好調の基盤となるのではないでしょうか。