深蒸し茶

2021年12月 茶況_No.376

令和3年12月21日

茶園では越冬に向けて敷草や防風ネットなど防寒・保湿・防風対策に取り組んでいます。元気な土づくりと元気な樹勢を保つことがおいしいお茶づくりの基本との先人の教えを守り茶園管理に励みます。生産者の高齢化と後継者不足から閉鎖する工場や廃業する農家が増える一方で、加工と販売まで手掛ける「農産物6次産業化」や農産物直売所、直営レストラン&カフェ、農業体験ができるグリーンツーリズムを経営している元気な若い農家もいます。若い生産者は、消費者が何を求めているのか、消費者側に立った目線で行動して「来てよかった」と思ってもらえる接客を目指します。耕作放棄地が増えていますが、耕作放棄すると茶の木は伸び放題となり近隣に迷惑をかけることになりますので、茶の木を抜根したり、他の人に貸すなど対策が必要です。広大な茶園ですと、今までは稼いでくれた茶園が、かえって厄介なお荷物茶園になってしまいます。静岡県では、最近「貸してください。売ってください」という新聞チラシをよく見かけるようになりました。伐採や整地造成を請け負ったり、太陽光パネルを設置する業者ですが、大規模な野菜工場を建設する動きもあります。異常気象でもレタスやホウレン草などを安定生産しやすい野菜工場は、注目が高まっています。静岡県は高速道路網が整備され、飲食業やスーパーの集中調理施設があり、三大都市圏にアクセスしやすい条件がそろっていますので耕作放棄地を太陽光発電や野菜工場にする動きが目立ちます。各地区の農業経営部会も耕作放棄地の利活用について新たな取り組みの推進や茶園整備への補助金などの要望書を行政に提出しています。

産地問屋は年末注文の仕上作業、袋詰作業、ティーバッグ製造、発送作業に全力で対応しています。年末の出荷は昨年並を確保できそうですが、贈答品需要となる上級茶の動きは鈍いままで、産地問屋間の目立った荷動きはありません。緑茶がコロナウイルス感染予防に有効であることから日本茶業中央会は、茶の持つ健康や癒し効果をPRしています。各県知事へも働きかけて消費拡大を図ります。コロナ禍で過大な債務を抱えた中小企業が、これから正念場を迎えます。県内の各金融機関は、取引先の経営改善支援に力を入れ、事業変革に取り組む企業への伴走型支援ができるように組織体制を見直していますが、金融機関の支援があっても、毎年続く売上の減少から廃業を選択する産地問屋は増えています。

消費地では、冬のボーナスが支給され本格的な歳末商戦を迎え街に活気が戻りつつあります。百貨店・鉄道・映画などは回復傾向にありますが、航空・バスなどは回復にはほど遠い状況です。外食産業も食事中心のところはコロナ前と同じ位に回復していますが、飲酒中心のお店は客数が戻らずに厳しい状況が続きます。一年の総決算となる年末商戦で各お店は顧客需要の取り組みに懸命ですが、収入の減少、儀礼ギフトの縮小、買い方の変化など消費者の節約志向は、ますます強まり苦戦しています。顧客が何を求めているかを探りながら「あのお店のあの商品・笑顔の接客・清潔なお店」を訴求して、いかにして自分の店に足を運んでもらえるのかを考えながら頑張っている得意先もあります。社長は「地元に必要とされ愛されるお店を目指す」「選ばれる理由を打ち出さなければ閉店の道を歩まざるを得ない」と語ってくれました。

 

年末年始 配送のお知らせ

最終便 12月28日(火)

 初荷便 1月 6日(木)

 

 

 

グレート・リセット

 グレート・リセット(Great Reset)とは、いまの社会全体を構成するさまざまなシステムを、いったんすべてリセットすることです。これまで当たり前であったシステムを、さまざまな問題を解決するために全部白紙に戻し、まったく新しい仕組みを一から作り出していきます。世界経済フォーラム(WEF)が開催する2021ダボス会議で、より公平で持続可能な社会を実現するために打ち出した命題です。未知のウイルスの出現によって世界的な未曾有の危機襲来に、これまでの社会システムや経済システムでは対応しきれなくなってしまいました。経済成長や貧困や格差の是正、幸福度の上昇を目指すためには既存の仕組みから抜け出し、新たな仕組みを作り出す必要があるのです。そのために過去のすべてを一度リセットします。

これまでに無い未知のウイルスが、我々の生活を一変させました。その影響は想定していたよりも、はるかに深刻で長期化しています。2022年を迎えようとしている今も新たな変異ウイルス「オミクロン株」の感染確認により事態の収束は見えなくなりました。今後もウィズコロナとともに生活し、感染を拡大させないための努力が求められ続けるでしょう。感染拡大の封じ込め、経済活動の推進、国民生活の援助をするために多大な費用が投じられ、世界の債務の増加は、GDPの4倍以上の金額で過去最高水準に達しています。財政状況が厳しくなれば当然支援縮小にともない倒産する企業や失業者は大幅に増加して格差社会は、さらに広がります。そして持続可能な社会の実現は、ますます遠のいていきます。既存の仕組みが崩壊した今は、持続可能な新しい仕組みを構築する好機の時です。既存の仕組みが崩壊した今だからこそ、これから先の未来を生きるために新たな仕組みを整備しようというのが、世界経済フォーラム(WEF)の考えです。公平なルールづくり、従来型の株主資本主義から株主だけでなく顧客や従業員や地域社会などすべてに貢献できる企業活動「ステークホルダー資本主義」がWEFが提唱する新しい型の経済です。新型コロナウイルスの登場によって現代社会は急激に変化しました。現代社会が抱える多くのひずみも生み出しました。これまでの仕組みのままでは対応できない問題が地球規模で世界全体に同時に起こり、コロナ禍を世界全体で乗り切っていこうとする機運が高まっています。そして、これからの時代を生きる国・企業・個人にとって新たな考え方を身につけることが大きな課題となっています。「グレート・リセット」と聞くと社会の仕組みががらりと変わってしまう途方もないことのように思えますが、これまで当たり前であったシステムを一度白紙に戻し、これまで以上に持続可能で公平な世界経済を早急に作り上げるべきという世界的な流れです。

私たち人間が地球に与えてきたダメージは地球温暖化、異常気象、天然資源の減少など多くの深刻な問題を引き起こしました。また経済、人種、宗教などの違いによる格差と不平等は分断や怒りを招きテロやクーデターが頻発して多数の難民を生み出しました。そんな状況下に新型コロナウイルスが最後の一撃を加えたのです。

全世界がパンデミックに直面し今までのシステムでは対応できなくなりました。これからは、すべての人が住みやすい幸福を感じられる社会システムの構築に向けて考え直さないといけません。「グレート・リセット」を実現するために、日本のとるべき行動は様々なものがあり、政府もこの時代に相応しい新しい政策を実行していく必要があります。未来を変えるために脱炭素社会、地球温暖化、生産性向上、デジタル社会、日本型資本主義など取り組む課題は山積みしています。一度すべてのものをリセットして、新たなより良いシステムを構築するために、これからの10年間が勝負の年となりそうです。

 

 

 

 

<新商品発売のお知らせ>

ドリップフィルター「茶楽らく」

「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。

そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。

このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。

Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp

TEL:0537-23-3252