深蒸し茶

2021年4月 茶況_No.368

令和3年4月6日

茶園では新芽の生育状況を見ながら摘採する日を決めていきます。今年は気温の高い日が続き桜の開花も早く、新茶の初取引も昨年よりは早くなる予想です。春先の天候に恵まれ適度な降雨もあって生育は順調です。意欲ある茶農家は茶園の基盤整備を進めていますが、後継者問題から廃業を選択する農家や相場安から茶の将来に不安を感じて他の農産物へ転換する茶農家も数多く出ています。これから機械の点検や、工場清掃をして新茶操業の準備を進めていきます。

産地問屋は在庫調整と倉庫整理、工場清掃と機械整備作業をこなしながら、生産者や消費地と情報交換を進め仕入計画と販売計画を詰めていきます。前年の仕入数量が少なかったために各問屋とも余剰在庫はなく適正在庫に近い状況のようです。コロナ禍で販売戦略は見通せませんが、一番茶で上級茶から中級茶まで一定量は確保する予定ですが、取引先の売上不振や廃業などで新茶期前のムードは決して順調とは言えません。農水省が緑茶の飲用に関する意識調査を実施しました。リーフ茶の飲用頻度が「増えた」と回答した人は全世帯では14%増でしたが18~29才の世代では25%増に上りました。増えた理由として「自宅で食事する機会が増えた」「自宅で仕事やくつろぐ時間が増えた」「家族と過ごす時間が増えた」「健康機能性に魅力を感じたから」と続きます。購入先として増えたのは「スーパー」「ネット通販」「茶専門店」「ドラッグストアー」の順でした。リーフ茶は緑茶飲料や他飲料にシェアを奪われ需要が減少していますが、消費喚起により低迷相場を打破する方策が必要であると農水省は提言しています。

消費地では「予約新茶」の注文を受け付けていますが来店客数の減少から前年並確保は難しそうです。価格を消費税込みで値札に示す「総額表示」が4月1日から義務付けられました。今後はチラシ・カタログ・値札すべてで税込み価格での表示が必須になります。3,240円、3,240円(税込)、3,240円(税抜価格3,000円)など各店で対応を済ませ新茶セールの準備に入りました。消費者に選ばれるためには何が必要かを全従業員で取り組んでいるお店もあります。

コロナ禍で持ち帰り需要を取り込みマクドナルド・ケンタッキーフライドチキンなどのファーストフードは10~20%売上を伸ばしています。時短営業に対応したデニーズ・サイゼリアなどのファミリーレストランは売上を40%落としています。ワタミ・鳥貴族などの居酒屋は60~70%減と終息が見えない状況に「心折れそうだ」といった声も出始めました。聖火リレーの中止や歓送迎会の中止など回復の兆しは見えず経営をますます圧迫します。特に「宿泊・飲食・旅行」の経営悪化は深刻です。近鉄グループは所有するホテル24か所の内8か所を売却すると発表しました。鉄道やホテル事業の不振が続き、資産を売却して財務基盤を強化する狙いです。その結果、名古屋中心部で進んでいた再開発プロジェクトに影響が出ています。名古屋鉄道・近鉄グループ・三井不動産・日本生命の4社が共同で再開発する予定でしたが2022年度の着工を延期し、4社間の調整も一から仕切り直しとならざるを得ない状況です。

唯一の明るいニュースはバイデンアメリカ大統領が220兆円の経済対策を公表した事です。電気自動車の普及や半導体の供給網強化、再生可能エネルギーの支援など日本に関係する産業分野も含まれていますので期待されてます。

 

 

 

 

 

Day(デイ) 1(ワン) 今日はまだ創業初日

Day1 (デイワン)は米国アマゾンが創業時から今でも大切にしている会社の経営理念です。「Day1」常にスタートアップのように果敢に挑戦する。70%の勝算があるならすぐに行動する。90%まで待っていたらすでに手遅れ決断が遅すぎるとの判断です。

「今日はまだ創業初日」スタートアップ精神を保ち続け、顧客の喜んでいる姿を目にすれば喜びは倍増するとの考え方が創業当時から今も変わらない会社の理念です。

アマゾン創業者のジェフ・ペゾス氏がCEO(最高経営責任者)を辞退して取締役会長に就任するというニュースが流れ57才の若さで引退かと世界中が驚かされました。1994年30歳で自宅のガレージで起業し最初はオンライン書店、その後日用品も扱うネット販売で成長しました。当時「インターネット専門の小売店」が成功するとは誰も思っていませんでした。1997年ナスダック上場、2000年宇宙企業ブルーオリジン設立、2013年ワシントンポスト買収、2015年プライム・ビデオ提供開始、2017年高級スーパー・ホールフーズ買収、などビジネス拡大に向け常に新たな挑戦を続け成長してきました。そして優れたビジネスモデルやシステムを構築しました。実店舗スーパーではレジを通らなくても決済が完了する「レジなし決済システム」を業界で初めて導入、今までの配送センターは商品が置いてある棚まで台車を持った人が移動してピッキングしていましたがアマゾンの配送センターは人は動かない定位置で商品を置いた棚のほうが人の前まで移動してきます。人は動かないで棚を移動させることにより梱包時間が短縮され「超高速配送」が可能になりました。

アマゾンには創業時より一貫した企業理念があります。それは「地球上で最もお客様を大切にする企業」です。1、常に顧客を意識する。 2、プロセスに甘んじず成果にこだわる。 3、時代の流れに逆らわずトレンドを取り入れる。 4,スピーディーに決断していくという経営哲学を貫いています。

巨大IT企業GAFAの一角を占めるアマゾンは、2020年従業員数130万人、売上高41兆円(37%増)、ぺゾス氏の個人資産は20兆円と世界一の大富豪となりました。ペゾス氏は、これまで何度も「自分は宇宙事業をやるためにアマゾンを立ち上げた」と語っていますがアマゾンCEO退任後は慈善活動基金の「デイワン・ファンド」、気候変動対策を行う「ペゾス・アースファンド」、宇宙開拓事業の「ブルーオリジン」の三本柱に注力し、これまでひたすらビジネスに突き進んできましたが社会問題を解決するという方向に大きく舵を切りました。

アマゾンは顧客第一という軸を決してぶらさないで今日に至りました。毎日が常に「Day1」と考えています。「Day2」の恐さは、ぬるま湯につかって停滞が続くと衰退することです。現在は賃金格差や労働環境の問題が提起され労働組合結成の是非が問われ経営を揺るがしかねない事態におちいっていますが労使でベターな解決策を見出すことで和解策を模索しています。

毎日が常に「Day1」であることがアマゾンを支える力になっていますが、世阿弥の芸道「初心忘るべからず」、松下幸之助の経営哲学「日に新た」に通じるものを感じます。

そして、顧客中心主義・発明主義・長期的展望を掲げて事業を推進する姿勢は創業初日と何も変わっていません。

市場の変化に伴って変われない企業は衰退し、変われる企業は生き残るというコロナ禍、コロナ後の時代、過去に例のない大変革の時代の幕は切って落とされました。

 

 

 

 

 

 

 

<新商品発売のお知らせ>

ドリップフィルター「茶楽らく」

「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。

そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。

このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。

Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp

TEL:0537-23-3252