深蒸し茶

2021年3月 茶況_No.367

令和3年3月3日

茶園では、新茶期に向けた茶園の見回りや春肥の準備などの管理作業が進められています。農林水産省が発表した2020年茶園面積は、静岡県13,700㏊(5%減)、鹿児島県7,970㏊(+-0%)、三重県2,520㏊(4%減)、宮崎県1,080㏊(7%減)と続きます。荒茶生産量は静岡県25,200t(15%減)、鹿児島県23,900t(15%減)、と静岡県がかろうじて首位を守った形です。県お茶振興課は「長く続く生産量1位が確保できて安心した。しかし、茶業者の経営が続くことが最優先で意欲ある人を支援したい」と意気込みを語りました。「お茶といえば静岡」のうたい文句はいつまで続けられるのでしょうか。県内の一番茶相場は1999年の3781円をピークに下落を続け2020年は1760円まで下落しました。ペットボトルのドリンク原料が主流となるなか農家の40%が廃業を検討しているといわれています。県は生産者、茶商、飲料・機械メーカー、大学・研究機関で組織する「Cha01プロジェクト」を立上げお茶の新たな価値と需要の創出に取り組んでいきます。

産地問屋は仕上・出荷作業を進めながら在庫の調整に努めます。生産量が少なかったために仕入数量が減り適正在庫を維持できています。仕入数量を減らし過ぎた一部問屋には追加仕入する産地問屋もみられますので、産地問屋間の荷動きは例年になく活発です。業界の長期低迷に強い危機感を持ち経営の仕方を変える必要があると感じていますが、次の一手がなかなか見出せないのが現実です。昨年11月の緑茶輸出量は472t(5.7%増)、輸出金額16億2千万円(28%増)と5ヵ月連続で前年を上回りました。輸出先は米国・台湾・ドイツ・カナダと続きますが輸出は好調です。

消費地では感染対策を徹底して店頭販売に努めています。家庭で飲むリーフ茶が巣ごもり需要と緑茶に含まれるカテキンの免疫向上機能が注目されて3年ぶりに増加に転じたと総務省家計調査の結果が発表されました。コロナ禍の外出制限もありワンストップショッピング1ヵ所で買い求める傾向が強くスーパーの緑茶売場は好調のようですが茶専門店は苦戦しています。ホームページを充実してSNS専門の「中の人」がフォロワーに細めに対応して通販部門の売上を増やしているお店もあります。デジタル技術活用を進めライフスタイルの変化への対応や業務の効率化、新需要創出にスピード感をもって取り組んで好成績を上げています。「固定費を見直し経費を最小限に抑えて嵐が過ぎ去るまで生き残る算段をすることが大事」と話された取引先の社長の言葉がいつまでも耳に残ります。

コロナにより企業業績の二極化が顕著です。好調なのはデジタル関連、食料品スーパー、ドラッグストア、家電・家具量販店などです。逆に不調なのは飲食店、宿泊、鉄道、映画、アパレルなどです。米国IT4社は過去最高益を更新しました。日本でも巣ごもり需要からソニー1兆円、任天堂3766億円と過去最高益ですがANA 5100億円赤字、日本航空3000億円赤字、JR東海1920億円赤字、三越・伊勢丹も大赤字決算となり厳しい状況はまだまだ続きます。先行きの不透明感に不安はつのるばかりです。

 

 

できることは、すべてやる。やるなら最善を尽くす。 

 昨年、そして今年と新型コロナウイルスに世界中が振り回された1年でした。ワクチン接種により新規感染者の数も減ってきていますので経済活動が少しずつ元に戻ってくることを期待しますが、この先の景気動向が気になります。現在の状況を予測できた人は、世界中誰一人いないのではないでしょうか。航空・ホテル・外食業界のみならず、百貨店、アパレル業界や結婚式場、葬儀場、介護事業なども深刻な状況に陥り、レナウン・エアアジアといった有名企業も破綻に追い込まれました。2020年は廃業・倒産を合わせると5万7千件の企業が市場から消え、2021年は6万5千件の廃業・倒産が想定されています。。競争のルールは大きく変わり消費者はどんなライフスタイルを望むのか、企業はどんな答えを出すのかが問われています。1971年の売上高順位は1.三越 2.ダイエー 3.大丸 4.高島屋 5.西友でした。これら5社は2019年の5位以内にひとつも入っていません。現在は1.イオン 2.セブン・イレブン 3.ユニクロ 4.アマゾンJAPAN 5.ヤマダ電機の 順ですが、まさに栄枯盛衰の歴史です。時代の変わり目には卓越した経営者が登場し、新たなビジネスモデルで消費市場を塗り変えてきましたが、新型コロナにより競争のルールは大きく変わり時代に乗り遅れないように次の一手を模索して生き残りを計ります。

トヨタ自動車の実験都市「ウーブン・シティ」の建設が裾野市で始まりました。新たな街をつくり自動運転や人工知能(AI)などを開発して新たな商品サービスを開発するのが目的です。車をつくって売る従来のビジネスモデルが通用しなくなるという危機感が背景にあります。自動車業界には電動化が進みますと大手IT企業が参入して従来の常識を覆す自動運転などの新技術やサービスが次々と生まれるとみています。ウーブン・シティでは「空飛ぶクルマ」の実験も始まります。中国のIT企業ファーウェイの本社は既に未来都市を建設した中にあります。旅行大手のJTBが資本金を現在の23億4千万円から1憶に減資します。税制上、中小企業になることで税負担を軽くするほか、巨額損失の補填原資を確保する狙いがあります。売上高1兆円、従業員数2万人の大企業ですが、過去最大の赤字となり約6500人の人員削減を発表しました。電通・日本たばこ産業・リクルートは本社ビルを売却します。テレワークで出社率が3割程度となっていますので従来と同じスペースは必要ないとの判断です。資生堂は日用品事業を売却して化粧品を中心とする高価格帯の事業に注力することで業績の回復を目指します。シャープも同じ理由から液晶株を売却して家電事業に注力します。セイコー・シチズン・カシオなどの時計メーカーもインバウンド需要低迷で売上が3割以上減りオンライン販売に注力します。「居酒屋和民」は「焼肉の和民」に事業変更し顧客対象をサラリーマンからファミリー層に変え、共働き・高齢者を対象に自宅に届ける宅食にも力を注ぎます。「出前館」は出前だけに絞って売上を伸ばしています。「ライザップ」は逆風の中で固定費削減、人員配置の見直し、店の統廃合を進め固定費を削って生き残りを計ります。時短営業の要請により、営業時間を「朝ラー」の朝6時からと大胆に切り替えて成功しているラーメン店もあります。お店に来てくれないなら行くしかないとキッチンカーを始めるお店や訪問サービスを始めた美容院・理容院もあります。傷が大きくならないうちに営業終了を決意する企業もあります。ドラフト会議の会場になった「ホテルグランドパレス」、結婚式場として知られる大阪「太閤園」、広島「ホテルニューヒロデン」、霧島「霧島国際ホテル」、「三越恵比寿」、「そごう川口」などコロナ禍が直撃して営業終了の決断をしました。国の「持続化給付金」「家賃支援給付金」「雇用調整助成金」「政策金融公庫無利子・無担保融資」などの手厚い支援がありますので市役所や金融機関に相談してみるのもいいでしょう。危機的状況の中で最善を尽くした企業がコロナ後も生き残っていくのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

<新商品発売のお知らせ>

ドリップフィルター「茶楽らく」

「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。

そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。

このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。

Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp

TEL:0537-23-3252