令和3年5月13日
一番茶の摘採を終了した茶園では二番茶に向けた管理作業が続いています。施肥と台切が主な作業になりますが病害虫の発生など茶園状況も入念にチェックします。また、二番茶の需要がどの位あるのか情報交換を取引業者と進めています。当社へ40年以上納品してもらっていた自園工場が後継者がいないことから今年の一番茶で製造を終了しました。40年以上取引のあった自園農家さんのお茶が来年は見られないと思うとやるせない寂しさとともに、茶業界の置かれた現実と時代の流れを感じざるを得ません。1日夜に竜巻とみられる突風が当社から東へ10k位の牧之原市を襲いトラックは横転し、茶畑・茶工場・防霜ファンに大きな被害をもたらしました。摘採前の一番茶を廃棄した農家や停電のために操業を停止せざるをえない工場もあり大きな被害となりましたので修復に追われていますが、二番茶操業に間に合うように多くのボランティアが集まり助け合っています。おかげ様で当社への被害はありませんでした。
産地問屋は仕上・発送作業をこなしながら原料の仕分けや一番茶の支払いに追われています。新茶の売上が4月中に集中しましたので4月は前年比で200%以上の売上ですが4月・5月の合計売上で昨年並みの売上を確保できるのかが心配されます。昨年より9日早く始まり4月中に一茶生産が終了するという展開となりましたので早目早目の準備ができて例年のような忙しさはありませんでした。コロナ禍で先行きが不透明なために必要な量だけを確保する動きは昨年と変わりません。これから、生産者と情報交換を進め二番茶の仕入計画を練っていきます。
消費地では新茶商戦も終わり中元商戦の準備を進めています。延長された「緊急事態宣言」による外出自粛の影響で、比較的感染が収まっている地域においても外出を避ける傾向にあり来店客数は減少していますので販売に暗い影を落としています。
国内の感染者数は65万人を超え変異株の拡大による深刻さが浮き彫りとなっています。各企業の決算も業種によって二極化が鮮明となり明暗が分かれました。JAL 2866憶の赤字、ANA 3095憶の赤字、近畿日本ツーリスト284憶円の赤字、優良企業の代名詞でもあったJR東海も2000憶円超の赤字、百貨店・大型商業施設・飲食店・ホテル・遊園地・劇場等も厳しい決算となりました。一方、新型コロナの影響で広がった在宅勤務によりパソコン出荷台数は過去最高を記録、ユニクロも在宅ウェアの販売が堅調です。ソフトバンク・NTTは過去最高益、巣ごもり需要によりソニーはゲーム部門・音楽部門が好調で1兆円の黒字となりました。ゲームが主力の任天堂も4000憶円超の黒字決済です。今後、オリンピック開催もあやぶまれ業種による二極化はますます進みそうです。
長引くコロナの影響は消費者の行動にも変化をもたらし生活スタイルも変わっていますので、自分の立ち位置を確認してその対応を急ぐ必要があります。基本となる「WHY(なぜ)」の繰り返しで消費者心理を読み解こうとしている小売店さんもあります。消費者ニーズの変化が「なぜ」起きているのか、消費者の日常生活の悩みを突き止め、新たな生活様式にマッチした商品や売り方を取り入れてマーケティング戦略に取り組んでいます。消費者の考え方の変化を読み取り、日常の困りごとに解決策を提示出来る経営者の手腕が益々問われるこれからです。
価 格 帯
4/13より始まった今年の一番茶が5/11掛川北部・原泉の入荷をもって終了しました。当初の予想は早場所・遅場所に生育の差がなくピーク時には大量の出荷が予想され値崩れして相場安の展開となり、終盤は摘採遅れしたコワ葉モノが大量に出回るのではと言われましたが、その予想は見事に外れました。朝晩の低温により芽伸びが遅く、芽数も増えないまま推移しましたので芽伸びを待って途中生産を休む工場もありました。そしてピークらしいピークを迎えずに出回り量が膨らまないまま終了を迎えました。終盤は量販店販売の原料確保のため下値が下がらないままコワ葉化が進みましたが強持合いの相場展開となりました。生産量は前年比10%減位と予想されますが、前年も減産でしたので平年比では20%~25%位の減産になるのでしょうか。廃業あるいは転作する茶農も出ていますので、今後も今年の生産量位で推移するのでしょうから需給バランスは健全になると予測されます。平均単価は終盤が値崩れしませんでしたので平均単価は20%高値で生産者の収入は前年比プラスとなり生産者にとっては久しぶりの明るいニュースです。当社の仕入価格帯は下記のとおりです。
前年対比 仕入k数 140% 仕入金額 156%
仕 入 比 率 |
前年(2020年)対比 |
2000円以上 0.3% | 180% |
1500円 売 2.0% | 151% |
1200円 〃 4.7% | 143% |
1000円 〃 11.0% | 200% |
800円 〃 26.0% | 194% |
600円 〃 43.0% | 163% |
500円 〃 12.0% | 97% |
400円 〃 1.0% | 10% |
300円 〃 0.0% | 0% |
100 % |
参考 :掛川茶市場取扱数量 92% 取引金額 115% 平均単価125%
今年の荒茶は品質が良く減産ですので、各クラスともに充分の仕入をいたしました。
荒茶2000円台が一番茶生産量の約半分ですので、2000円台に荷もたれ感はありますがバランスの良い仕入価格帯となりました。今後は上級茶を扱う茶専門店の廃業がますます増えますので生産者と産地問屋は情報交換をしながら、共にその対応策を考えていかないと明るい未来はないと茶園の基盤整備や生産効率を上げて製造コストを下げる取り組みを始めています。5月末には二番茶の摘採を始めるところもありますが、過去に記憶のない早い二番茶になりそうです。製造コストを下げるために各地区の代表工場へ生葉を持ち寄って1ヶ所で製造する地区や自園工場には製造コストを考えて二番茶製造をやめる工場も出始めました。
*二番茶の仕入時間は一番茶より1時間遅くAM6:00からとなります。
*色沢が冴えて水色の良いものが仕入基準となります。
<新商品発売のお知らせ>
ドリップフィルター「茶楽らく」
「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。
そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。
このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。
Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp
TEL:0537-23-3252