深蒸し茶

2020年5月 茶況_No.359

令和2年5月21日

4/21(火)に始まった新茶の仕入は5/20の春野町の有機茶の入荷をもって終了しました。4月中は雨不足と低温により収量が少なくミル芽過ぎて成長不足を感じましたが、5月に入ってからは植物本来の光合成も働き品質の良い新茶が生産されました。生産量は4月中は3割減、5月に入ってからは平年並みとなり全体では15%前後の減産と予想されます。

茶園では二茶生産に向けた施肥やナラシを進めながら病害虫の発生を警戒して茶園の状況を入念にチェックしています。これから始まる二番茶の需要がどの位あるのか情報交換を進めながら、生産するかどうかを検討する工場もあります。産地問屋は仕上・出荷・保管作業をこなしながら仕入した荒茶の用途別仕分けと支払準備、二番茶仕入計画を練っています。今年は消費地での休業要請・外出自粛により新茶商戦が振るわず出荷は10%~20%減となりました。先行きの見通せない状況から取引先の休業や廃業も出始めていますので上・中級茶の取り扱い数量も減少傾向です。先行き不透明な状況から二番茶の仕入も控えめになります。 消費地では予約新茶の手渡しも終わり中元商戦の準備を進めています。外出自粛により商店街は閑散として、大型施設・ショッピングセンター・百貨店に出店しているお店は休業せざるを得ない状況ですので新茶商戦の売上は大幅な減少となりました。感染症予防に茶カテキンの効果を説明して緑茶の効能を訴求するお店もあります。新型コロナウイルスがもたらす不況が底無しの様相を見せています。感染者は世界で480万人に上り感染による死者は世界全体で30万人を超えました。(5/19)。国際通貨基金の専務理事は「私の生涯において、いま最も深い闇の中に人類はいる」と断言しましたが、東京で4店舗を運営するある飲食店は4月の売上は前年比85%減「いまは地獄にいるような状況。せめて赤字が出ないくらいに売り上げを戻したいが、このままでは廃業を考えなければいけない」といった切実な声も聞かれています。特に飲食・旅館・ホテル・航空・バス・タクシー等の業種の落込みは深刻で先日のニュースでは130台の「はとバス」が車庫で待機している様子を映していましたが悪化スピードはますます加速しています。事態が長引けば企業は雇用を支え切れなくなり失業率7%台、失業者数は300万人以上に達するといわれてます。14日に39県を対象に活動再開に向けて動き出しましたが、すぐには経済活動が正常化しないとの懸念は根強く資金繰りに頭を悩ませる企業も少なくありません。4月以降、景気は坂道を転げ落ちているようで百貨店3社の4月の売上は7割減でしたが5月は8~9割減となっています。米国では衣料品のJクルー、百貨店のニューマンマーカスとJCペニーが経営破綻して百貨店の終焉が言われています。日本ではアパレル大手のレナウンが民事再生(負債総額138億円)の手続きに入りました。新型コロナによる百貨店の休業が追い打ちをかけた形です。対象治療薬が実用化され、経済が元の水準に戻るのは5年先と見られています。日本ボクシング現役王者の高橋選手(27)が現役引退を発表しました。3月の試合が延期となり、5月の再試合もJBCから興行中止の要請を受け再々延期になったことにより「度重なる延期で闘争心を維持できずに引退を決めた。先の見えない状態で頑張る辛さを感じた」とその気持ちを吐露していましたが、今まさに日本中の経営者が直面している問題です。この先、経験したことのない試練に向き合うことになりますが、西村担当相「気の緩みが、再び大きな流行になる」と警告していますので引き続き慎重な対応が求められます。

 

 

価 格 帯

令和2年4月21日(先勝)の市場開きより始まった今年の新茶は雨不足と夜間の低温から芽伸びが遅く連続操業が始まったのは4月24日(大安)からとなりました。お茶の芽は蒸し暑いような夜にはよく成長するのですが、今年のように夜間が乾燥した低温ですとゆっくりとした成長になりますので芽伸びを待っての摘採となります。最初は生葉収量300k以下と極端な減収で途中で操業を休む工場もありました。早目に終了した工場は3割の減産になった工場もあります。ある程度芽伸びを待って操業を継続した工場は収量と金額で昨年並を確保できたようです。県内全体の生産量は前年比15%前後の減産となり売上金額も前年比15~20%の減収となりそうです。工場間の格差が大きく数量・金額で前年並の工場もあれば、売り先が定まっていない工場は前年から売上額が半減した工場もあり、茶農家は厳しい局面に立たされています。 当社の仕入価格帯は下記のとおりです。

 

前年対比  仕入k数 73%  仕入金額 72%

仕 入 比 率 前年(2019年)対比
2000円以上   0.3% 40%
1500円  売    1.9% 72%
1200円 〃   4.8% 83%
1000円 〃   7.6% 52%
 800円 〃  19.6% 59%
 600円 〃  38.9% 102%
  500円 〃  17.4% 66%
  400円 〃   6.1% 48%
  300円 〃   3.4% 64%
100 %  

 

今年の新茶は新型コロナウイルスの影響で初取引のセレモニーが中止となり、密集・密接を避けるために市場への入場制限やマイスプーンの持参など異例づくめの展開となりました。また先行きが見通せない状況から各問屋とも慎重な仕入姿勢に終始しました。特に消費地が休業要請を受けた4/25~5/6のゴールデンウイーク期間中の休業は八十八夜商戦真っ只中の休業だっただけに1000円売以上の仕入はおさえざるを得ず仕入数量は半減しました。魚河岸、アメ横、大型ショッピングセンター、ショッピングモール、百貨店など、いつもなら混雑して繁盛している施設ほど休業要請により新茶の売上が大幅に減少しました。商店街のお店も外出自粛により来店客数が減少しましたので売上に大きく影響しました。当然産地への注文数も減り産地問屋の出荷数量も20%前後の出荷減となりました。これから茶専門小売店の休業・廃業が益々増えますので中上級茶の販路は益々狭められ戦略の見直しと厳しい対応を迫られています。

静岡茶市場では、本山・清水・富士方面のお茶が終盤を迎えていますが買い手の満腹感から片付きに苦戦しています。依然として需要は不透明で、ドリンク関連の業者の需要があまり見られないことから、一部産地は二茶生産の見送りも検討しています。

 

 

 

 

<新商品発売のお知らせ>

ドリップフィルター「茶楽らく」

「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。

そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。

このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。

Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp

TEL:0537-23-3252