深蒸し茶

2020年10月 茶況_No.363

令和2年10月22日

秋冬番茶の生産が終了した茶園では整枝などの来年の一番茶に向けた茶園管理が進められています。夏場の猛暑の影響を受けて生育が鈍く2~3割の減産となりそうです。ドリンク関連業者は積極的に仕入しましたが「コロナ禍で落ち込んだ消費が、この先どこまで回復するかが読みにくい」と手探り状態の仕入となりました。静岡県は減産で相場が上向かない需給動向に危機感を持っています。担い手の高齢化、耕作放棄地の増加などで摘採面積は20年前の3割減となり生産者の経営安定を急ぐ必要があることから対策を官民一丸で進めています。

産地問屋は仕上・発送作業を進めながら、最近増えているティーバッグや粉末茶の加工に追われています。新商品開発・販路開拓・生産性向上の3区分の経営革新計画を補助金申請して新規事業を模索する動きもあります。静岡市で若者に人気だった大型店「静岡マルイ」が来年3月で閉店するため中心市街地で地盤沈下を懸念する声が広がっています。魅力を高める「まちづくり」を改めて考え直す正念場を迎えています。全国企業倒産件数が過去30年間で最少と発表されました。政府の無利子・無担保の公的支援が企業の資金繰りを支えた結果です。産地問屋もこの融資を利用したケースが多く助けられました。

消費地では「秋の蔵出し」を実施し「お歳暮商戦」の準備を進めています。今年のお歳暮は近隣の知人への手渡しを避け配送を求めるお客が増えると見込み送料サービスを拡充します。所得が減り、財布のヒモが締まり、節約志向になると年末商戦は苦戦しそうです。県立大学・岩崎教授は若者の緑茶に対する需要喚起のポイントは 1、緑茶イメージの改善

2、パッケージ・茶器のデザイン重視 3、茶カフェの展開 4、お茶のある生活シーンを提案 5、ティーバッグの活用 6、プチギフト需要の喚起 7、SNSで情報発信、と説きます。

在宅勤務・在宅学習や外出自粛が広がり都心から郊外へと消費の重心が大きくシフトしました。生活必需品を扱う郊外の食品店は好調です。コロナ禍で食料品購入まで一度に済む「ワンストップショピング」が高まっているからです。家具のニトリがホームセンターを展開する島忠の株式公開買い付けに踏み切る方向です。「やっぱり人は1番手にいく、2・3番手にはいかない」ニトリCEO。ドラッグストア業界も積極的なM&Aが繰り広げられています。2021年マツモトキヨシとココカラが経営統合して1兆円企業が誕生します。スーパー業界もイオンが再編の主役となり、M&Aは加速します。小売業全体の再編が進み寡占化時代の幕開けになりそうです。

想定以上に新型コロナの落込みと回復の遅れが大きくコロナとの苦しい共存生活に終わりは見えません。収益改善に向けて厳しいリストラに着手する企業もあり、コロナ解雇

6万7千人、コロナ倒産は600件に達しました。業績が悪化した企業の間で今冬ボーナス大幅削減に踏み切る動きが広がっています。ANA・JTB支給見送り、三菱自動車2割減額、JR西日本4.5割減額など冬のボーナス削減に踏み切る企業は予想以上に多い印象です。

結果、個人消費の冷え込みやさらなる景気悪化にもつながりかねず年末から年明けにかけての景気悪化が懸念されます。コロナが去るのを待っているだけでは淘汰されるのは必然、変化こそが生き残る道なら変化を受け入れないといけないと厳しい口調で語る経営者がいます。いい方向に変わっていくチャンスととらえ戦略を練ります。

 

 

With コロナ戦略

 新型コロナウイルスによって私達の生活が大きく変わってから、半年以上が経過しました。コロナ感染者は世界で4千万人を超え、国内感染者も10万人に迫ろうとしています。不要不急の外出自粛要請により、巣ごもり消費や在宅勤務・在宅学習などライフスタイルは大きく変わりました。海外旅行には行けませんが、国内旅行も県外となると自粛ムードです。買い物はレジに並ばずに済む非接触セルフレジを導入したお店や、宅配サービスも利用するようになりました。社会の弱点を憎らしい程突いてきた新型ウイルス、もう元には戻らないと思ってポジティブにこの環境に適応していく企業姿勢が見られます。これから到来する社会はU字型か、L字型なのか、あるいは企業間格差が広がるK字型なのか、コロナ後の経済には悲観的見方が多いようです。GoToキャンペーンが始まり街に人は戻りましたが、お店への客の戻りは十分ではありません。特に影響が出ているのが外食や宿泊、映画、カラオケ、夜の飲食などの余暇消費です。そして街にあふれていた外国人観光客は消えたままです。外国人旅行者を多く受け入れていたホテル・旅館・土産物店は急速に経営が悪化し破たん・廃業に追い込まれています。インバウンド需要消失により百貨店も大閉店時代に突入しました。コロナ前から消費者の百貨店離れが広がっていましたが、消費増税とコロナが止めを刺した形で百貨店の大閉店時代は、これから本番を迎えます。飲食・宿泊・小売業も「お先真っ暗」と閉店のタイミングを捜しているお店も多々あります。

襲来したコロナによる雇用環境の悪化、所得減少、インバウンド需要の蒸発、サプライチェーン寸断による生産停止。取引先を訪問して顔を合わせることが営業の仕事でしたがコロナ禍はリモート営業に変わりました。オフイスで働く旧来の労働観は崩れ自宅勤務のテレワークが増えました。テレワーク導入率は6%から感染拡大を機に30%まで急上昇しました。大学でもオンライン授業が浸透し始め都会に借りていた部屋を引き払い家賃のかからない田舎に戻る生徒も出始めました。コロナによって3密を避ける非接触の社会、デジタル技術にけん引される近未来が一気に近づいたのは確かです。生活や仕事・教育などさまざまな場面で実効性の高い「Withコロナ戦略」が求められています。今回のコロナで日本のデジタル戦略の遅れが図らづも露見しました。(デジタル競争力ランキング 1、アメリカ 2、シンガポール 3、デンマーク 4、スウェーデン 5、香港 8、韓国 27、日本)弱肉強食の世界、巨大IT企業GAFAがますます強くなりデジタル化に対応できない企業は淘汰される流れです。私たちは今、変革を求められています。そして想定外の危機を乗り切りたいと必死に頑張っています。「コロナ禍で消費は大きく変わり、これまでの常識が通用しない大きな変化が起きている」ユニクロ柳井社長、「やっぱり人は1番手に行く」ニトリ似鳥CEO、「新しい価値を作らなければ生き残れない。そこに投資できた企業だけが生き残っていく」ゴンチャ原田社長。旅行業界大手のJTBは480ある国内店舗を5年かけて2割減らし、オンラインでの接客を活用して効率的な店舗運営に切り替えると発表しました。居酒屋大手のワタミはコロナ後も居酒屋市場は従来の7割までしか戻らないと予測。2022年までに3割のお店を「焼肉の和民」に転換すると発表しました。これまで手薄だった家族連れなどの客層を開拓し生き残りを図ります。渡辺会長は「居酒屋和民は人生そのもので寂しい思いだが、変化こそが生き残る道」とその決意を語りました。

治療薬やワクチンが開発されるまで、日常生活が制約を受けることは覚悟しなければいけません。経済がコロナ前と同じ状態に戻るには、この先何年もかかります。感染拡大防止と経済活性化「Withコロナ」に向け、少しでも消費を動かす知恵が求められています。時代が変わればライフスタイルも変わり、商品も変われば売り方も変わる。「Withコロナ」を見据えた経済活動と戦略は動き出しました。

 

 

 

<新商品発売のお知らせ>

ドリップフィルター「茶楽らく」

「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。

そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。

このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。

Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp

TEL:0537-23-3252