深蒸し茶

2015年5月 茶況_No.310

平成27年5月25日

一番茶の摘採が終了した茶園では、茶園の遅れ芽処理や茶園の更新作業、施肥作業などの二番茶に向けた茶園管理が続けられています。茶園の更新は例年ですと全面積の2割程度ですが、今年は更新する茶園面積を3割にふやしたり、紅茶生産に切り換えたり、二番茶の製造を止める工場もあります。今年は早場所と遅場所が同時に始まる幕開けでスタートしました。4/21~5/3までの13日間、雨無しの日が続きましたので摘採も順調に進み、ゴールデンウイーク中に9割が終了するという異例の早さで終了を迎えました。出始めは日照不足により味が薄いとの声もありましたが、茶期を通しての出来は良品質の一番茶だと思います。早場所・遅場所が同時の上場でしたので1日の上場数量が多く、茶商側の仕入数量を抑える動きが目立ったために、商談が難航する場面が数多く見受けられました。買い気配が弱い原因として、急須で入れる茶葉の需要減、在庫過多、売れない売れないのマイナス思考、先行する鹿児島新茶の単価安など複数の要因が重なったためとみています。単価安から製造を途中で中止する工場もありました。これから淘汰が進み、良質茶を作り、買い手が決まっている生産者しか生き残れない不測の事態です。問屋も特色ある商品、新たな販路の開拓を強化しなければ同様です。

一番茶の仕入を終了した産地問屋は仕上・発送作業を進め、消費地からの注文に忙しく対応しています。仕入した一番茶は年間原料となるため、仕分けして保管作業を進めます。仕入数量を前年対比マイナスと設定する問屋が多く、価格が折り合わなければ無理に値押しせずに手を引く場面も多くみられました。一部の産地や工場は量販店販売の大手や飲料関連業者が価格を下げて買い支えた格好です。

消費地では新茶商戦も終わり「中元商戦」の準備に入っています。新茶商戦は前年の売上確保がむつかしかったようです。新茶商戦の盛り上がりは薄れ、報道機関も以前のようには新茶の季節感を取り上げなくなりました。茶業界は生産・販売両面で大きな転換期を迎え、いままでの商習慣を根本的覆す商品・売り方が必要であると痛感します。急須でお茶を飲む人の減少は業界に大きな打撃を与え「消費の回復は見込めない」の声も出始めました。市場の変化に対応が遅れればシャープのように失速してしまいます。「目標達成は難しいが奇策はない」と地域で支持されるお店を目指して地道に努力しているお店もあります。緑茶を日常的によく飲んでいる人は死亡するリスクが低いとする調査結果が厚労省の研究班より発表されました。緑茶に含まれるカテキンが血圧を下げ、カフェインが血管や呼吸器の働きを助けるからです。デパートでは中元商品に、お茶を今年の目玉に積極的に売り込む方針です。専門店もお茶の機能性の高さをアピールして「健康と美」を主題に中元商戦に弾みをつけたいものです。

 

お中元に最適!!水出し煎茶が売れています。

水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格 450円 30本入

「水出し煎茶」の原料は水出し専用の茶葉を使用して製造しています。抹茶入

 

価 格 帯

 掛川茶市場開(4/21)で始まった今年の一番茶の仕入は掛川市から北へ30㎞の山間地に位置する春野町の有機茶の入荷(5/18)をもってすべて終了しました。今年はスタートから5/4まで雨の日がなかったために生産はハイペースで進み、生産量が膨らむ一方で問屋の慎重な仕入れ姿勢は始終変わらず、下げ止まる気配すらないまま終局を迎えました。特に5/4の雨後はコワ葉化も進み価格も下押ししました。雨前に生産を終了した生産者は数量は若干減でしたが金額では前年並みを維持できたようです。雨後に販売を持ち越した生産者は下値の価格帯を製造したために数量は若干増でしたが金額は前年比10%減位になりそうです。県内の生産数量は前年並から5%増産位に落ち着きそうです。当社の一番茶仕入価格帯は下記のとおりです。

 

前年対比仕入K数    99.6 %     仕 入 金 額    92 %

仕  入  比  率 前年対比(平成26年を100%とした場合)
2000円以上    0.9 % 106 %
1500円売 1.5 % 47 %
1200円売 5    % 98 %
1000円売 11.1 % 110 %
800円売 24    % 86 %
600円売 15    % 67 %
500円売 19    % 76 %
400円売 10    % 190 %
300円売 13.5 % 143 %
  100    %  

 

2000円売から400円売まで各クラス適量でバランスの良い価格帯となりましたが、雨後に生産された300円売が、二番茶と重なる価格帯になりますので、若干の荷もたれ感があります。二番茶は300円売以下からのスタートになりますので厳しい価格帯が予想されます。良質茶を作り続けて信頼を得、親茶として取引先が期待している工場は販売数量も取引価格もある程度安定しましたが、毎年決まった取引先のない工場は厳しい値押し交渉があったり、全量が販売成立しなくて持ち帰ったりする場面もあり、かって経験したことのない一番茶でした。一番を摘採してから43日~45日で二番茶摘採となりますが、量販店・飲料関連業者以外は二茶への関心が低く買手は限定されてくるもようです。

生産者の皆様へ

  • 二番茶の仕入は6/18(月)AM6:00より当社拝見場にて行います。
  • 仕入基準①色沢のよいもの ②水色のよいもの ③夏茶臭コワ葉臭のすくないもの

梅雨時期と重なりますので、雨による中断を考慮して早目の対応をお願いします。