深蒸し茶

2013年5月 茶況_No.288

平成25年5月23日

一番茶の摘採が終了した茶園では、茶の木の更新や茶園への施肥など、まもなく始まる二番茶に向けて準備を進めています。今季は一茶の大幅な減産基調を受け、収量・金額ともに前年比減の厳しい状況です。減産要因として ①側芽が伸びない芽数の少なさ ②4月11・12・13日に発生した低温による凍霜害 ③昨年の台風で発生した潮風害による樹勢の低下 ④収入減による減肥の影響 ⑤摘採期以降の夜間低温による芽伸びの抑制。今年は4月15日が市場開きと異例の早さでスタートしましたので、ミル芽摘採を心掛け早目に摘み取りに入りましたが、夜間の冷え込みで生育が抑えられ、早い物は色が乗り切らない製品も散見されました。序盤の高価格帯は問屋の反応が鈍く厳しい展開でしたが、後半は一転、供給薄を反映して底堅い相場展開の堅調相場となり、荷口を複数の問屋が分け合う展開となりました。減産を強調する声が高まっている割に買い手の消極姿勢は変わらず先行きに不安を感じます。指導機関は二番茶摘採に備え、茶園管理の徹底を呼び掛け、来シーズンに向け樹勢が強く、生産力の高い茶園をつくるように指導しています。

産地問屋は仕上・発送作業をこなしながら、仕入した一番茶の整理と管理作業を進めています。また、まもなく始まる二番茶に向けて、消費地や生産者と情報交換を進めながら仕入計画・販売計画を作り販路拡大に努めます。新茶の出荷もここへ来てピタリと止まった感じですが4・5月の合計では前年比5~10%減くらいになりそうですが、仕入数量・仕入金額が少ないだけに問屋に焦りは感じられません。二番茶は遅れ気味ですので6/10頃より始まる予定です。

消費地では「新茶商戦」も終わり「中元商戦」の商品企画やチラシ・DM発送の準備を進めています。最近はお客様の新茶への関心が薄く、新茶商戦が盛り上がらないという声をよく耳にします。これも世代交代によるリーフ茶離れの一端でしょうか。寂しさは感じますが、早急に対策を打つ必要があります。伊藤園の新茶のペットボトルは、POSデータで上位にランクインしていました。「予約新茶」に関しましては特別の物という差別化もあって前年並みを確保したお店が多いようです。

足元ではアベノミクスによる心理的な明るさが戻っているとはいえ、購買力が委縮して報道されるような景況感は感じられません。現在のニーズを的確に据えお店の質を上げることが競争力を高め強いては顧客満足につながると強固な体質づくりに努めているお店もあります。

 

お中元に最適!! 水出し煎茶ができました

「水出し煎茶」の原料は水出し専門の茶葉を使用して製造しています。

水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格450円 30本入

リーフタイプもございます。上記金額には別途消費税、3万円未満の場合送料500円が別途かかります。

 

生産者の皆様へ

1、二番茶の仕入はAM6:00よりです。

2、仕入基準は①色沢のよいもの②水色のよいもの③夏茶臭・コワ葉臭のすくないもの。

3、梅雨時期と重なりますので、雨による中断を考慮して製造してください。

 

 

価 格 帯

 

今年の新茶初取引は4月15日と例年に比べ7~10日も早く取引が開始されました。例年より早い取引に対して新茶ムードが盛り上がらない軟調地合いでのスタートです。

3月の平均気温が平年より2~3度高く、適度な雨に恵まれて、今までに例のない早い生育状況となりました。しかし、寒の戻りによる4月11・12・13日の寒波による冷え込みで、防霜設備のない茶園、防霜ファンの風が届かない一部茶園、窪地で冷気が滞留しやすい茶園などで凍霜害の被害がありました。山間地の高い場所の茶園においても気温がマイナスになるなどして凍害の被害がありました。その後も寒さと雨などによる低温が続いて新芽の成長が止まったり、5月に入って一部地域ではヒョウが降ったりと気象災害に振り回された一番茶となりました。肥料が効いて日頃の管理が行き届いている樹勢の良い茶園は凍霜害を受けにくいですし、受けても軽微ですみます。また回復も早いようです。質の良い肥料を多目に施肥することが肝要です。今年の一番茶は前年比30%減、平年比20~25%減と大幅な減産になりそうです。当社の仕入価格帯は下記のとおりです。

 

 

前年対比仕入K数  69%     仕入金額  74%

仕 入     比 率 前年対比(平成24年を100とした場合)
2000円 売以上   0.7 %

1500円 売      4.1 %

1200円 売     5.2 %

1000円 売      1.5 %

800円 売      3.0 %

600円 売      1.6 %

500円 売      2.6 %

400円 売       .3 %

35 %

71 %

64 %

95 %

87 %

68 %

69 %

27 %

100 %  

 

 

今年の平均単価は昨年より高いのですが、数量が大幅な減産となり、各茶工場は経営の体質強化を図るために施肥設計の見直しや経費削減などを含めた工場運営の見直しを進めています。大幅な減産にもかかわらず問屋の仕入姿勢は終始冷静でした。売上計画・売上予想がマイナス志向となり「注文分のみを拾い買いして、売れるかどうか分からない在庫は抱えたくない」というムードが強く、余分に仕入するという雰囲気は見られませんでした。現在、リーフ茶離れが深刻ですが、今年の生産量で秋口以降に不足感がなく経過したとしたら恐ろしい状況です。