深蒸し茶

2013年7月 茶況_No.289

平成25年7月9日

二番茶の摘採が終了した茶園では、天候を見ながら二番茶後の茶園管理に取り組んでいる生産家の姿が見られます。害虫防除や施肥などの作業が主になります。各地域では耕作放棄地になっている茶園についての話し合いや、二番茶の生産や取引についての反省会を進めているところもあります。来季に向けて樹勢回復を優先させる動きが大半ですので、県内の三番茶生産は見送られるようです。ドリンク関連の三茶需要はありますので事前受注生産となります。

掛川・菊川・島田・牧之原の4市と川根本町にまたがる「静岡の茶草場」が石川県で開かれた国連食糧農業機関(FAO)の国際会議で世界農業遺産に登録されました。茶価低迷が長引く中、世界的ブランドの確立で茶業と地域の活性化が実現できるか、今後の基準づくりに期待がかかります。

産地問屋は仕上・発送を進めながら、消費地との情報交換を進めています。二番茶の増産から、予定量よりかなり多く仕入したために満腹感があります。中小の産地問屋がリーフ用に手当てする割合は少なく、大口で仕入するのはドリンク関連業者です。過去10年でペットボトル入りなどの緑茶飲料は1.5倍に成長しました。一方で緑茶のリーフ需要は金額ベースで4割減っています。家庭では急須で入れるお茶を飲む機会が少なくなり、利便性の高いペットボトル飲料が成長を続けているからです。この傾向が今後も続きますと、自主的に廃業・解散を選択する産地問屋も出てくるのではと懸念する声も聞かれ始めました。5年後10年後を見据えた次の一手が望まれます。

消費地では「中元商戦」の販売に力を入れながら、本格的な夏を迎える前に、店内で接茶などをして「水出し煎茶」のPRに努めています。家庭用の需要とともにギフト需要をいかに開拓していくのか、商品開発・販売企画を練って中元・歳暮・手土産等のギフト需要に繋げようと真剣に取り組んでいます。アベノミクスで金融緩和を促して、円安・株高の流れをつくり、各自動車のメーカーは過去最高の利益をあげました。そのお金が下請け企業や小売店、働き手、地方へと回って行くはずですが、小売店からは「高級品が売れているというニュースが信じられない」といった、ため息まじりの声も聞かれます。安部政権は先月「第3の矢」である成長戦略をまとめました。しかし、そこには大都市の経済や大企業を潤すメニューばかりが並び、地方や中小企業・働き手が潤う道筋が見えてこないとの声があちらこちらで聞こえてきます。安部政権が打ち出す政策は、私たちの暮らしにどんな影響を与えるのか、参院選の結果が注目されます。