深蒸し茶

2013年4月 茶況_No.287

平成25年4月3日

茶生産者はまもなく始まる新茶摘採を前に茶園への春肥投入作業や茶園の巡回をこまめにして新芽の生育状況の確認をしたり、防霜施設の点検をしています。これからの寒波が心配と警戒し、気象予報に注意を払います。生育状況は畑のある場所によって異なりますが、おおむね昨年比で5日~7日ほど早い状況です。冬場に休眠があり、3月以降は気温が上昇して生育は順調ですので園相はすこぶる良好です。「今年も品質的に期待できる」との声も聞かれ始めました。鹿児島県は昨年より1週間早い摘採となっていますので、掛川茶市場も4/18日か4/20日が初取引となりそうです。したがって製茶工場稼働のための整備や清掃を急いでいます。

静岡県茶業会議所は2013年産の検査体制を決めました。12年産と同様、県全域の19産地で飲用茶を検査して結果を公表します。各JAは地域単位を定めて自主検査をします。昨年も検出限界値未満でしたが、昨年同様にきっちりやることが安全・安心の原点になるからです。

産地問屋は機械の整備や茶冷蔵庫の整頓を進め、仕入適地の茶園巡回に努めています。新茶の受け入れ準備を進めながら、消費地や生産者との情報交換に努め、仕入計画と販路拡大に向けた販促計画を立てます。 高齢者人口の増加によりイオンやローソンなどの小売業者も経営戦略の中で「シニアシフト」を打ち出し店舗や商品に反映し始めています。シニアの需要を取り込むのに具体的にどうしたら良いのかが待ったなしの課題です。シニアビジネスの基本は不の解決「不安・不満・不便」をいかに解消するのか。この3つを解決することにより新しい顧客創造につなげたいとの強い思いがあります。ですから「磨けばもっと光る商品」の企画・開発に余念がありません。

消費地では新茶販売を前にDMの発送や店内飾り付けの準備を進め仕入計画・販促計画を練っています。店頭にて「予約新茶」の受け付けもしていますが前年並からやや減といった状況のようです。アベノミクス効果で景気が上向くとの見方もありますが、実際の消費までどう影響するのか不透明感はぬぐえません。内閣府の景気ウォツチャー調査でも、景気の回復傾向を歓迎する声は多く聞かれますが、回復の実感が広がらないといった報告も出ています。むしろ消費税増税への不安を口にする経営者・従業員の方が多いようです。厳しい状況の中、わざわざ来店していただくための売り場づくりを徹底的に考えているお店もあります。来店していただくお客さまの見える欲求(物質的な品質と価格)と見えない欲求(接客サービスと心の満足)に一生懸命に対応することでお客様からの感謝の声が社員のやる気・やりがいにつながっているとおっしゃっていました。視点を変えれば、

まだまだチャンスがあるのだとたいへん勉強になりました。

 

生産者の皆様へ

 

1、当社の仕入は掛川茶市場初取引日(4/9に決定)より当社拝見場にて朝5時より行います。

2、機械整備時の油臭・異臭・工場清掃時の異物混入には細心の注意をお願いします。

 

 

 日本は他の先進諸国に先駆けて、超高齢・人口減少社会へと突き進みつつあります。

2030年までには12000万人もの人口が減少して、日本の人口は1億2700万人から1億1500万人になります。そして人口の三人に一人が65歳以上の超高齢社会を迎えるのです。超高齢化社会の到来とは、いったいどんな社会なのでしょうか。これまでの常識が通用しない領域に足を踏み入れようとしているのではないでしょうか。求められる商品とは、サービスとは何か。そして、今から取り組むべき課題とは何か。そして、高齢化社会で発生するニーズとはなんでしょうか。

家計調査年報によりますと、例えば「お米」はこれから絶対的に支持される商品です。飲み物では緑茶・コーヒー・乳酸菌飲料が増加します。サービス分野では庭の手入れ代や給排水工事費が増えています。高齢になってから新築する世帯はほとんどないでしょうから、住宅の修理・修繕の需要も増えます。外食産業は減少し「ファミリーレストラン」からシニアが集う「シニアレストラン」に変わります。衣類や靴などの生活用品も新たに購入するものは少なくなります。自動車用品や通信費も減ります。肉中心の洋食に慣れ親しんだ世代でも高齢になれば野菜や魚の和食中心に移行します。10年前・20年前の家計調査年報でも同じ傾向を示していますので、10年後・20年後も同様の傾向が出るとの前提です。農産品を含めて今まで駄目だといわれていた産業に光が当たる社会が訪れます。タクシー業も、もっと高齢者に優しくして利用しやすいサービスを付加すれば需要は拡大するはずです。特に高齢化社会に求められる商品・サービスは中小企業が供給しているものがほとんどですから、中小企業のきめ細やかな顧客対応力が問われます。

大手企業もターゲット顧客を高齢者中心にシフトしつつあります。市場調査、商品開発、マーケティング、店舗運営などの事業戦略を大きく見直し、組織体制も大きく変更しています。しかしながら高度成長期に業績を拡大してきた企業には、いまだに若者やファミリー層をターゲットにしているところも多く見受けられます。年々売上減少にさらされているにもかかわらず従来のビジネスモデルから脱却できない企業が多く存在しているのです。また「シニアシフト」に取り組んでいるものの、苦戦している企業も数多く見受けられます。流通最大手のイオンは3月に食品スーパーのピーコックを買収してすぐに、都市部に多数の店舗網を持つダイエーを子会社化しました。これからの高齢化社会に備え、売り場を郊外から市街地へも広げるためです。スイスの食品大手「ネスレ日本」は一杯抽出型コーヒーマシンに力を入れます。国内市場を分析すると1人2人世帯が増え、紙フィルターを使って4~5杯のコーヒーを入れる従来の飲み方よりも紙フィルターの交換が必要ない一杯抽出型は、手間がかからないからです。「高齢化先進国」でビジネスモデルを確立したい思惑が見え隠れします。

高齢化の進行に伴って医療、年金、介護などの社会保障費の支出も増えていきます。高齢化による社会保障費が増えて、教育、雇用支援、公共投資、防衛などの支出が減れば諸外国との競争に勝てなくなる恐れがあります。医療や介護の大半は現在の消費であり、教育や公共投資などは将来のための投資です。将来のために十分な投資ができない社会では困るのです。

日本の長期的な変化を見れば「人口減」と「高齢化」は避けて通れない道です。「シニアシフト」は時代の流れであり、待ったなしです。この動きに乗り遅れることなく、いますぐ行動を起こすことが求められています。そして、すでに起こっている人口減少と高齢化社会という確実な未来に今から備えておく必要があるのです。