深蒸し茶

2021年6月 茶況_No.370

令和3年6月29日

二番茶の摘採を終了した茶園では更新作業や殺菌・防除・施肥などの茶園管理作業が進められています。今年の二番茶は芽伸びが遅く5月から摘採が始まると思われた茶園も6月に入ってからの摘採となりました。例年ですと一茶摘採後43日~45日が二番茶適期となるのですが、今年は適期までが50日前後かかりました。一番茶後の雨不足と夜温が低くかったこと、減肥による樹勢の衰えなど複合的な要因が考えられます。芽伸びを待って刈るような状況でしたが、相場の下げ止まりから急いで生産する様子もみられませんでした。昨年は底なし相場から採算割となり生産を中止する工場もありましたが、今年は真逆の相場展開となりましたので生産量は前年比20%前後の増産になりそうです。単価も昨年は荒茶500円割れもありましたが、今年は下値で700円~650円でした。増産かつ高単価と生産者にとっては久しぶりの嬉しい二番茶となりましたが昨年が悪過ぎただけに比較にもなりません。要因としては、問屋に在庫が少なかったこと、生産者の廃業・廃園が加速しすぎての供給増から供給不足への不安感など転換点に差し掛かった年とも言えます。

産地問屋は仕入した二番茶の整理と仕上・発送作業を進めています。二番茶の需要はスーパーの袋詰茶とドリンク原料に限られていますので、二番茶を仕入する産地問屋はこのどちらかの販路を持つ問屋に限られています。昔は小売店さんの会社納品や飲食店への業務納品もありましたが、今は皆無に近い状態です。会社には自動販売機が設置されたり、コンビニで個々に買入したり、飲食店はお茶から水、お茶を出すお店はリーフ茶からティーバッグや粉末茶など手間のかからないお茶に変わりました。家庭でも急須でリーフ茶を日常的に飲む人は減少傾向にあります。業界として「緑茶のある生活シーン」をいかに提案していくかが、これからの大きな課題です。生活シーンに一番親しんだ健康飲料であることも機会あるごとに訴求していく必要を感じます。

消費地では「中元商戦」に入り「水出し煎茶」や「お勧め商品」の販売に力を入れています。例年ですと店頭で冷茶接待を続けていたお店もコロナ禍により中止したお店もあります。個性のある「あのお店のあの商品」など核となる商品をアピールしたり、個性あるお店づくりに創意工夫を重ねて好成績を上げているお店もあります。

株高を背景に美術・宝飾・貴金属・車などの高級品は好調ですが、勤務シフトが減った非正規で働く人からは支援を求める切実な相談が寄せられています。一部の子供世代では、這い上がる道筋がなくなってしまうほど格差社会が足元で進行しています。夏のボーナスは業種により大きな差が出ていますが3年連続で減少する業種が多くみられます。建設・鉄道・空運・飲食・旅行は厳しい状況が続きます。JTBは22年夏までボーナスゼロ回答しました。通信・宅配・スーパーなどは好業績を反映して増額します。コロナ禍の社会で生活スタイルが大きく変わり夏のボーナスにも影響が出ています。

東京五輪開幕まで1ヵ月を切りました。政府は「安心・安全な五輪」開催を進めていますが、インド型デルタ株が拡大し薄氷の上にいるようです。第5波が心配されますので世界に認められる機敏な日本の対応に期待します。

 

 

 

価 格 帯

6/1に始まった二番茶の仕入が6/23の掛川市北部山間地の入荷をもって終了しました。下げ止まりのない軟調な相場展開に終始した昨年とは対象的に、今年は荒茶700円~650円で下げ止まる堅調な価格で終了を迎えました。昨年は荒茶500円を割り早めに生産を切り上げた工場もありましたが今年は堅調な価格でしたので最後まで製造を続けました。

結果昨年比20%前後の増産になると予想されます。昨年が大幅減産・最低価格でしたので比較は難しいところです。当社の仕入価格帯は下記のとおりです。

 

前年対比  仕入k数 116%   仕入金額 171%

仕 入 比 率 前年(2020年)対比
300円  売   29 % 660 %
250円  売    60 % 832 %
200円 〃   11 % 19 %
150円 〃    0 %  
100 %  

参考 掛川茶市場取扱数量 150% 取引金額 213% 平均単価142%

 

価格は昨年より3割~4割高と生産者にとっては数量・価格ともに良く、今までの暗いムードを吹き飛ばす結果となりました。ドリンク関連業者は下物の一定量確保に徹しますので、堅調相場が最後まで続きました。生産量の80%以上が荒茶1,000円~700円に集中していますので決してバランスの良い価格帯とは言えません。昨年の在庫が少なかったこと、後継者不足、昨年の価格安から廃棄茶園と工場閉鎖の増加が加速して生産量が減っていることが要因にあります。農林省が発表した静岡県の茶工場は5827工場と5年前の調査から39%減となっています。リーフ茶の需要減少や担い手の高齢化により茶生産者の減少は加速しています。過去20年間では全国茶農家数は2万軒減り、茶園面積は43%減少しました。急須で入れる上級茶の消費は、これからも減る傾向ですが中級茶の荒茶3000円~1500円の一番茶と荒茶1200円~600円の二番茶の製造でも経営ができる経営体を整えれば茶生産にも明るい未来が開ける予兆ではないでしょうか。静岡茶が生き残るには、担い手の確保は欠かせません。そのためにも後継者育成や茶園の集積、茶樹の若返りなどを強化して茶業で生活できる基盤づくりは最重要課題です。今年の転換点を機に茶業界も正念場を迎えようとしています。

 

水出し煎茶が売れてます。

水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格450円 30袋入

*「水出し煎茶」の原料は水出し専用の茶葉を使用して製造しています。抹茶入り

 * HARIOの「フィルターボトル」とセットで中元商品に最適です。

 

 

 

 

 

 

<新商品発売のお知らせ>

ドリップフィルター「茶楽らく」

「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。

そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。

このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。

Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp

TEL:0537-23-3252