深蒸し茶

2017年5月 茶況_No.331

平成29年5月29日

一番茶の摘採を終了した茶園では、二番茶に向けた化粧ならしも終わり二茶芽の生育を待っています。生産者は休む間もなく田植えや茶園の防除や茶樹の更新作業、機械整備を忙しく進めています。県は意欲ある茶農家を後押ししようと小規模茶園の基盤整備に本腰を入れ始めました。多くの生産者は、その必要性を認識しながらも、その負担が重いので整備着手に二の足を踏んでいるのが現状です。県はやる気ある若手生産者と意見交換を通じて、各地域の特徴や要望に合った手法をコーディネートしながら積極的に支援して茶園の集積を進め、生産性向上や経営改善に結び付けたい意向です。

産地問屋は一茶の仕入を終え、仕上と発送作業を忙しく進めながら、倉庫を整理して二番茶受け入れの準備を進めています。新茶の開始が1週間遅れましたので、4月の新茶売上はゼロに等しく4月のトータル売上は昨年対比で約半分です。4月に減った分が5月に増えれば良いのですが、出遅れた分を取り戻すには至らず4月・5月の売上合計は10%減位に落ち着きそうです。今年は茶期前、茶期中と雨がなく早くから減産予想が言われましたが、消費地・産地ともに仕入姿勢は冷静で減産への危機感はあまりなかったように感じました。以前は減産予想が流れますと各問屋とも数量確保のために懸命に仕入したものですが、現在の売れ行きを考えると仕入も消極的な傾向です。

消費地では予約新茶や新茶セールも一段落して、中元商戦に向けた「水出し煎茶」等の店頭販売に力を入れます。「フィルターインボトル」とのセット販売やフィルターインボトルを使った冷茶の楽しみ方をレクチャーしながら、着実にファンを増やしているお店もあります。

島田市が東京渋谷の大型雑貨店「ロフト」で1127人を対象にアンケート調査を実施しました。回答者のうち73%は30歳以下の若者で、よく飲む飲み物を「お茶」と答えた人は51%に上り、コーヒーや紅茶・ジュース類を抑えて最多でした。飲む形態については「リーフ」が37%、「ペットボトル」が29%と、若者の間では急須で飲むリーフ茶離れが進んでいると言われていますが、リーフ茶がペットボトルを上回る結果でした。味については女性が「さわやかさ」男性が「香ばしさ」を求める傾向がありました。業界ではこの結果を基に茶の入れ方の提案やイメージ戦略も含めた販路拡大策を図ります。

 

お中元に最適!! 水出し煎茶が売れてます。

水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格450円 30袋入

 

1、「水出し煎茶」の原料は水出し専用の茶葉を使用して製造しています。抹茶入り

2、HARIOの「フィルターインボトル」とセットでお中元商品として販売したらいかがでしょうか

3、フィルターインボトルは㈱吉村で取扱っています

 

 

価 格 帯

 4/25より始まった今年の一番茶は5/24春野町の有機茶の入荷をもって、昨年より一週間遅れで終了しました。始まる前は短期集中型が予想されましたが、雨不足と低温により芽伸びが進まずに途中で製造を休む工場もあり、長期となりました。。一工場あたりの操業日数は、昨年より平均1日短いのですが、休まずにミル芽操業を進めた工場は早く終了しましたが、摘採のタイミングを待って途中休みを入れた工場は昨年より一週間遅れの終了となりました。早く終了した工場は2割減、遅く終了した工場は昨年並みから5%減。全体では10%前後の減産ではないでしょうか。前半は雨が無く夜温が低く推移しましたので芽伸びが進まずに、天気が良くても操業を休む異例の事態となりました。5/10の雨以降は気温も上がり芽伸びも一気に進みました。雨が一週間早ければ数量にも品質にも好影響が出たのにとの恨み節も聞かれます。当社の一番茶仕入価格帯は下記のとおりです。

 

前年対比仕入K数  97%         仕入金額   97%

仕 入 比 率 前年対比(平成28年を100%とした場合)
2000円以上       0.8%

1500円 売       3.7%

1200円 売       3.7%

1000円 売       9.8%

800円 売     21   %

600円 売     15   %

500円 売     32   %

400円 売     14   %

    74 %

184 %

95 %

78 %

88 %

93 %

106 %

116 %

100  %  

参考:静岡茶市場 取扱数量 877トン(22%減) 平均単価2130円(15%高)

掛川茶市場 取扱数量 549トン( 2%減) 平均単価2539円(4.5%高)

 

600円売以下で61%、500円売以下で46%と高い比率ですがスーパー等の量販店向けの原料となる価格帯です。今期の一番茶は上場数量が少なく、減産予想が早くから言われましたので平均単価は高めで推移しました。数量10%減産の単価5%高ですと生産者の収入は昨年より減収になり、ますます厳しい状況が続きます。これからは消費地小売店、産地問屋、生産農家が共に生き残れるために知恵を出し合い、熱意のある小売店・生産農家と共存できる取引を継続したいと強く感じる今期の一番茶でした。

 

生産者の皆様へ

  • 二番茶の仕入は一番茶より1時間遅く AM6:00からとなります。
  • 仕入基準 ①色沢の良いもの ②水色の良いもの ③夏茶臭の少ないもの

43日~45日が目安ですが摘採計画に添って良質茶の生産を目指しましよう。