深蒸し茶

2010年6月 茶況_No.259

平成22年6月2日

今年は3月中旬頃までは順調な生育で、例年より早いシーズン到来とみられていましたが3月末に凍霜害が発生、その後も真冬のような低温の日が続いたために新芽の回復に影響して新茶の摘採が前年より大幅に遅れました。そのため「予約新茶」等の上級茶の確保と品質維持にたんへん苦労する厳しい状況下でのスタートとなりました。その後も低温の日が続き、降雨による中断が4回入り、予想外の天候不順に泣かされる茶期といわざるをえません。

茶園では防除や整枝などの二番茶に向けた管理作業に精を出す生産者の姿が見られます。今年は天候に悩まされる場面が多く、大きなヤマ場もなく長丁場な一茶期となりました。当初は3割程度の減産が確定的と予想されましたが、一つの茶畑へ何度も足を運んで摘み取るなど、ていねいな生産を根気よく続けた結果、予想以上に荷がまとまり減産幅は大幅に圧縮されました。最終的には前年の85%~90%程度を確保できたと見られています。摘採時期、摘採位置等生産者にとってひじょうに神経を使う一番茶でしたが、無事に終了を迎えました。

産地問屋は消費地や生産者との情報交換を続けながら仕上、発送作業に努め、同時に仕入した一番茶を用途別に仕分けて保管する作業をしています。一番茶は供給薄の状況ですが、売り場の縮小、売行不振等もあって買い手に焦りはなく、落ち着いた雰囲気のまま終了を迎えました。以前は減産との情報が流れますと、相場が沸騰して原料の確保に奔走する展開となることが通例でしたが、最近の消費低迷、景気不透明感もあって、終始冷静に商いが展開されるようになっています。近年は異常気象により冬場の暖冬から一転して春先に寒の戻りがあり、早生品種や早場所地帯に被害が発生する傾向が見られます。静岡は時期の早さを競うのではなく、4月下旬より品質重視で製造を開始した方がよいとの意見が川勝県知事をはじめ各関係者から聞かれるようになりました。各問屋は6月中旬から始まる二番茶の仕入計画を練っていますが、スーパー卸・業務用卸・ドリンク原料などを販売先に持つ問屋に限られてきます。一番茶摘採後45日で二番茶の摘採となりますが、今年は一つの茶畑で数回に渡り摘採していることから、不揃いな二番茶になることが予想されます。

消費地では新茶商戦が終わり、中元用のチラシやDMの準備に追われています。4、5月の売上は前年並かやや減といったお店が多いようですが、政治も経済も揺れに揺れ、先行き不透明感のまま厳しい局面が続きます。現在は多種多様な飲料が各社から発売されています。また、インターネット、大型ショッピングモールなど流通形態が大きく変化しています。大きな変革の時代の流れには逆らえず、生き残りの瀬戸際で小売店・問屋・生産者ともに苦悩しています。

 

価格帯

 

掛川市の北へ約30kmの山間地に位置する春野町の有機栽培茶が5月27日に入荷して今年の一番茶の仕入をすべて終了しました。昨年より10日遅い幕引きとなり初取引から終了まで1ヵ月に及ぶ長丁場となりました。当社の一番茶の仕入価格帯は下記のとおりです。

価 格 帯 》 前年対比 仕入k数73%、仕入金額86%

仕 入 比 率 前年対比(平成21年を100とした場合)
2,000円売以上  1.6% 163%
1,500円売    5.4% 301%
1,200円売    5.0% 97%
1,000円売   15.0% 108%
800円売   29.0% 83%
600円売   21.0% 86%
500円売   20.0% 50%
400円売    2.5% 17%
300円売    0.5% 5%
       100.0%  

3月30日の厳しい冷え込みにより発生した凍霜害とその後の低温により出まわりが大幅に遅れましたので数量の確保と適品の確保に苦労した、今までに経験のない波乱・乱調続きの一番茶となりました。特に早生品種と早場所で凍霜害の影響が大きく、前年より1週間から10日遅い連休明けにピークを迎え、大きなヤマ場もなく終盤となりました。生産者からは芽が不揃いで芽数が少ないとの話を聞かされましたが、生産量は茶工場によって3割減から前年並まで差があり、全体では前年比15%前後の減産になりそうです。差の出た原因につきましては凍霜被害時の温度差(-2℃~-7℃)にもよりますし、その後の回復に向けた毎日の気温差にもよります。重い風邪を引いた後に毎夜毎夜、寒い日が続いて風邪をこじらせたように感じるお茶も見受けられました。天候不順と減肥の影響から味が薄い、お茶が軽いといった声も聞かれますが、前半に生産された1000円以上の上級茶につきましては寒さに耐えて出てきただけに納得のいく品質ではないでしょうか。後半にはコワ葉化した軽いお茶も見受けられるようになり適品確保に苦労しました。昨年は一番茶価格が下落して500円売~300円売を大量に仕入しましたが、今年はその価格帯の適品が少なく仕入量を極端に減らしましたので仕入数量は73%と前年比かなり少なめの仕入数量に落ち着きました。600円売以上につきましては予定どおりの数量でバランスのよい仕入価格帯となりました。数量合わせで合格点に達しないお茶まで仕入するよりも結果的には満足しています。冬場の需要期になって不足感が出るのか、でないのか不透明感の残る一番茶でした。

<生産者のみなさまへ>

  1. 二番茶の仕入れは当社拝見場にて朝6:00からとなります。

一番茶は朝5:00でしたのでお間違えのないように。

  1. 当社では二番茶の需要が見込めません。できる限り茶園の更新をしてください。
  2. 良質の物に限って仕入れします。①色状のよいもの ②水色のよいもの ③夏茶臭・コワ葉臭の少ないものを仕入基準とします。