深蒸し茶

2021年9月 茶況_No.372

令和3年9月3日

茶園では茶農家の方が秋肥などの茶園管理を進めています。気温の高い昼間の時間帯を避けて朝夕の涼しい時間帯に管理作業を進めるのですが、今年は雨の日が多く、潅水作業が必要ありませんので例年に比べて身体的な負担は少ない作業となります。雨による水分が茶園に十分に行き渡り秋芽は順調に育っていますので近年稀に見る良好な園相です。

9月末から秋冬番茶の製造が始まりますので工場と機械の点検・整備も同時に進めています。秋冬番茶の製造は市内全工場でなく限定された工場になりますが、仕入する問屋もドリンク原料・量販店販売を扱う一部問屋に限られます。静岡県では農業者の所得向上と農業の高度化・効率化を推進する取り組みを進めています。スマート農業技術の導入促進や農地集積の拡大、消費者ニーズにそった販売戦略の構築などが主な内容です。

産地問屋は秋需要に向けた販売計画を立てています。例年好評をいただいている「口切り新茶」の製造もまもなく始まります。9月末から製造が始まる秋冬番茶の必要数量を取引工場に予約して保管倉庫など受入れ準備を進めます。飲食店・会社などの業務用は低調ですが家庭用は堅調に推移していますので売上は前年並みを確保できました。東京商工リサーチが発表した全国の倒産件数は累計2千件超、失業する従業員数は2万人以上と厳しい結果報告です。感染終息が見えない中で過剰債務を抱える企業も多く廃業・倒産はさらに増える可能性があると指摘しています。政府の手厚い資金繰り支援策により持ちこたえていますが、売上減少が長期化すれば行き詰まりは避けられない状況が続くと警告しています。そこで県内の金融機関は取引先のニーズに寄り添った支援策を強化しています。今までの資金繰り一辺倒から本業の経営支援や事業承継などコロナ後の経営改革・出口戦略など伴走型支援に熱心に取り組んでいます。静岡県の名物経営者スズキの鈴木修会長が退任しました。挨拶では「失敗から多くを学び成長することができた」と経営者人生を振り返り、51勝49敗、49の失敗から51の成功を導いたと自己採点しました。常識破りでいいから挑戦しよう。もがいて、汗をかいて、最後に勝ち越せば会社は続いていく、の言葉が胸に響きます。

消費地では「秋の売り出し」の準備を進め、年末の「歳暮商戦」も視野に販売計画を練ります。「緊急事態宣言」が長期化する中、買い物形態も多様化して対応に戸惑っています。総務省の家計調査によりますと一世帯当たりのリーフ茶の購入数量13%減、支出金額10%減、ペットボトル茶飲料支出金額2%増と発表されました。購入金額は茶飲料がリーフ茶の約2倍となり差は益々広がっています。アマゾン・楽天などの通販市場は前年比20%増の十兆円を突破しました。十兆円は百貨店の2.5倍、主要コンビニ7社合計に匹敵する市場規模です。巣ごもり需要により外出せずに利用できる通販は独り勝ちの様相です。

感染者数は増減を繰り返しながら未だ終息する気配がありません。ワクチンや治療薬が行きわたらない限り終息は見こめず先行きの不透明感はまだまだ続くものと思われます。消費者は節約を心掛け、いかに工夫してお金をかけずに生活満足度を高めていくかを試し、最適なライフスタイルを考えています。そうした動きを読み取り自店の商品・サービスを購入してもらうためにどうしたら良いのか従来とは違ったアプローチが求められています。

 

 

 

覆水(ふくすい)盆に返らず

コロナの感染拡大を機に私たちの生活は一変しました。コロナが終息したとしても流行前と同じ生活に戻ることはないと考えて戦略を立てるべきでしょう。リモートワークや

ネットショッピング・テイクアウト・宅配など「遠隔・非接触・デジタル化」などの新サービスの開発、新事業の立ち上げが目立ちます。政府が打ち出した「新しい生活様式」が浸透して外出を自粛して家で過ごす「巣ごもり」時間が大幅に増加したからです。人とのコミュニケーションはITを活用して遠隔で行う「リモート」が定着、蜜を避けるためにネットショッピングの利用も急拡大、接触を避けるためにお金の受け渡しには電子マネーの普及が加速しています。キーワードは「遠隔・非接触・デジタル化」と言われており、これらに関連する需要を取り込むための「新商品・新サービス・新事業」の立ち上げが事業継続に必須となってきました。外食大手「和民」は渡辺会長兼CEOが12年振りに社長に復帰して立て直しを図ります。休業要請などで主力の居酒屋事業で苦戦が続き「コロナの状況が想定より厳しい、もう我慢の限界だ」と創業者自らが業績回復に道筋を付けるために新業態開発のスピードを早めて構造改革を進めます。居酒屋業態に変わって、焼き肉店や唐揚げ店・フライドチキン店などの出店が加速します。現在は好成績の宅配弁当事業も、より若い年齢層に向けてマーケティングを見直します。居酒屋チェーン大手の「鳥貴族」はチキンバーガー専門店「TORIKIBURGER」という新業態に活路を求めます。大倉社長は、第二の創業という思いで世界のトリバーガーにしていきたいと語りました。外食各社は店内飲食以外に持ち帰り需要の取り込みに力を入れています。在宅勤務の定着などで、コロナ禍が終息した後も持ち帰りへのニーズは続くと見ているからです。「スカイラーク」「ガスト」はアプリで注文や事前決済をできるようにして利用者の便宜を図ります。「大阪王将」は、持ち帰り利用を重視した店舗レイアウトに見直しています。店内に入らなくても専用窓口から出来立ての商品を受け取れるようになります。「丸亀製麺」も持ち帰り専用窓口の設置を始め「丸亀うどん弁当」が大ヒットして持ち帰り比較は25%まで上昇しました。牛丼の「吉野家」は持ち帰り専門店を出店しました。持ち帰りと同様に各社が力を入れるのは宅配です。全体の約7割が実施しており、ウーバーイーツなどの外部のデリバリーサービスを活用しているお店が約8割です。「セブンイレブン」はネット宅配を拡大しています。店舗から半径500mの範囲を対象に専用サイトで千円以上から注文を受け付けています。配送料は別途330円かかります。食品スーパーの「ヨークベニマル」は店内の商品を配達する「電話で宅配」サービスを拡大しています。最初は買い物に行くのが困難な高齢者向けサービスとしてスタートしましたがコロナ禍により注文数は増えています。

飲食や宿泊・旅行は特に厳しい状況が続きますが、居酒屋を「食事のできるレンタルオフィス」に変えて対応したり、大阪の某ホテルは「食事を部屋で取れる」「PCR検査ができる」を実施して差別化を図り成功しています。旅行客の減った「JR東海」は場所と時間をずらして密を避ける旅「ずらし旅」の企画が好評です。

 「緊急事態宣言」が出て小売り・外食・宿泊・レジャー業界の決算は減益や赤字が目立ち厳しい内容となりました。小手先のコロナ対策では立ち行かないことが明らかになり、新事業の開拓を含めたビジネスモデルの抜本的な変革を迫られています。コロナ終息後も新規参入が続き、追うものと追われるものが目まぐるしく変わる激動の時代を迎えます。「覆水盆に返らず」は中国の故事で「一度離婚した夫婦は元にもどることはできない。」が元の意ですが、転じて「一度起きてしまったことは二度と元には戻らない」という意味で使われるようになりました。

 

 

 

 

<新商品発売のお知らせ>

ドリップフィルター「茶楽らく」

「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。

そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。

このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。

Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp

TEL:0537-23-3252