深蒸し茶

2021年12月 茶況_No.375

令和3年11月24日

秋冬番茶の生産が終わった茶園では来年の一番茶に向けた管理作業を進めています。また、茶園に敷くためのススキやササなどの敷草を刈る作業をしています。刈った山草は枯らして細断してから12月に入り手作業で茶園へ敷き詰めていきます。防寒・防湿・肥料など美味しいお茶づくりには欠かせない作業です。来年に向けた課題などを話し合う工場もありますが、急須で入れるリーフ茶需要に陰りが見えドリンク原料と量販店販売原料が主流になっている現状に先行きへの不安は募ります。今年は重油と肥料が2~3割値上がりしていますので「生葉代から重油代と肥料代を引くと残るものはほとんどない」といった深刻な声も聞かれ始めています。他の農産物との併作や転作を検討して複合経営を目指す農家や、機械の修理や入替を機会に廃業を検討する農家もあります。県内の茶農家が生き残れる対策を行政・農協・茶商で早急に取り組んでいかないと静岡茶の将来に禍根を残す結果になります。

産地問屋は仕上作業と発送作業を進めながら歳暮商戦の対応に努めています。秋冬番茶は昨年よりやや増産やや単価安で終了しました。1番茶と2番茶は昨年より高く、秋冬番茶はやや安い価格で今年のお茶のすべてが終了して県内各問屋の冷蔵庫に収まりました。気温の低下に伴い注文数は増えていますが適正在庫で推移していますので、産地問屋間の本茶の荷動きはほとんど見られない静かな秋需要期です。巣ごもり需要によるスーパー緑茶販売とネット販売は順調に推移していますので10~11月は前年並みの売上を確保できそうです。競争が激しく先行き不透明な時代は競合他社との差別化は必須条件です。そして新需要を創出することは、経営者の大命題です。リーフ茶需要が減少していく中で、商品は?マーケットは?売り方は?様々な企画・販売方法を提案して生き残りを図ります。社長が先頭に立って絶えず考え、社員には需要を創出する必要性を繰り返し語りかけています。良い結果が出るのは余裕のある時よりもむしろ今のような非常に苦しい時です。失敗するのは、うまくいかない時よりも、むしろ得意満面の時であることは長い経験から身に染みて感じています。

消費地では「お歳暮商戦」を間近に控え忙しくなってきました。「お薦め品コーナー」を設置して地域浸透を図ります。商品はもちろん挨拶や接客や店内の整理・整頓・清掃を徹底して「地域密着」の地元に愛されるお店を目指します。「あのお店のあの商品をあの人から買いたい」と地元の顧客に選ばれるお店になれるように一年間努力してきました。その結果が年末に出ます。期待と不安とが入り混じり正直複雑な心境です。

11/19(金)から「ブラックフライデー」が始まりました。日本では5年前からセールの動きが広がり認知度・売上ともに年々高まりクリスマス前の新商戦として定着してきました。しかし、世界でクリスマス商戦に異変が起きています。品不足から値上げが相次ぎ厳しいクリスマス商戦を迎えそうです。原因は重油高による物流費と原材料の高騰、コンテナ不足、人手不足などがあげられます。世界では人手不足が深刻化しています。特にサービス業では顕著です。外国人労働者や留学生・技能実習生がコロナ禍で移動できない結果、生産不足になり物価高騰の要因になっています。世界の各地でクーデターが勃発し、行き場を失った難民が溢れ、世界は激動の時代に入りました。

 

 

 

暮しが仕事 仕事が暮し

 明治を代表する陶芸家・河井寛次郎は奔放な作風で知られ「土と炎の詩人」と評されました。文化勲章や人間国宝などへの推挙もありましたが、無位無冠の陶工として76歳で没するまで創作活動を続け「暮しが仕事 仕事が暮し」の言葉を残し陶工人生を全うしました。

「僕は中小企業のおやじ」と言ってはばからない静岡の名物経営者に鈴木修氏がいます。彼もまた「暮しが仕事 仕事が暮し」の経営者です。現場・現物・現実にこだわる「三現主義」を掲げ、徹底した現場にこだわる強いリーダーシップで社長就任時3232億円であったスズキの売上高を30年間で3兆超の優良企業に育て上げました。1979年こんな車が

<あると>便利なんですと「アルト」を47万円で売り出して大ヒットさせ、次にセダンもあるけどワゴンも<あーる>と「ワゴンR」など次々とヒットを飛ばしました。顧客ニーズをつかむために全国各地に点在するディーラーや小売店へ自らの足で出向き現場スタッフやユーザーの声を直に聞いて顧客の動向やニーズの把握に努め製品改良や販売戦略をスピード感を持って実行しました。特にこだわったのが新たな需要を作り出すことです。現場に出向き作業者やユーザーの声を聞くと色々なところに潜在需要があることに気付きます。消費者は「これは便利だ」と買い求め、そして生活の質を高めました。鈴木修さんは数々の伝説的なエピソードや語録を残しています。俺は中小企業のおやじ。やる気と出会い、ツキと共に生涯現役として走り続けるんだと活躍していましたが、先日会長職を退任し40年以上に及ぶ経営人生を振り返りました。仕事への取り組み方は「やる気」が先決。人の能力の差は気力・体力・努力しだいで簡単に逆転する。要はやる気しだいだと「やる気」を座右の銘としていました。成果で報酬が出るのだから8時間働けばそれでいいと思ったことはありません。この世に並ぶものがない方向に転換するのが経営者の使命だと思っています。使命を達成するために働くことは楽しいんです。仕事を放棄したら死んでしまいます。有給休暇は死んでから嫌というほど取れます。子供のころ雪ダルマをつくるとき、最初に根になる雪玉をしっかりつくって、その雪玉を転がして雪ダルマをつくりました。雪玉がダメだと雪ダルマが上手にできません。しっかりした雪玉をつくり、休まずコツコツと転がしていけば企業は発展していくものです。

スズキを40年以上トップとして率いてきた鈴木修さんに引退を決意させたものは91歳という高齢とともに世界的な流れの変化です。自動車はエンジンの時代からモーターに移行して全く新しいものに生まれ変わろうとしています。私が引退を決意したのはガソリンとエンジンのことは誰よりも知っている自負がありましたが、モーターと電池のことはわからないからです。私が30代ならチャレンジしました。

多くの企業でSDGsを共通なゴールと考え、環境への企業姿勢は企業経営の根幹に関わる課題になっています。気候変動に対応するために「脱炭素・電動化」の動きは世界中で強化され、EUでは2035年ガソリン車の販売を禁止します。ドイツのベンツ、イギリスのロールスロイスはEUより5年前倒しで2030年にはガソリン車の製造をしないことを発表しました。両社は自動車業界の先駆者であり続けるためのリーダーシップを維持するためには他社よりも5年早める必要があったわけです。「米ロス自動車ショー」は電気自動車の新興企業が相次いで新型車を発表し旧来の自動車大手との主役交代を印象付けました。

軽自動車を芸術品として守りたい鈴木修さんも世界的な流れのグリーン成長戦略には対応できないと判断したのでしょう。「これからは長く付き合っている各地の販売店さんを回り感謝を伝えたい」と経営者として貫いた信念は見事としか言いようがありません。

 

 

 

 

<新商品発売のお知らせ>

ドリップフィルター「茶楽らく」

「淹れる手間よりも捨てる手間」とよく言われますが、お茶を淹れるのは面倒だとは思わないが、使用した後の茶殻の処理を面倒だと思っている消費者の方は意外と多いものです。

そこで今回、使い捨て型の急須・カップ用のティーフィルターを開発いたしました。

このドリップフィルター「茶楽らく」を使用することによって、捨てる手間と洗う手間が簡単になり、手軽にリーフ茶を楽しむことができます。リーフ茶の消費低迷により、茶業界は大変苦戦を強いられておりますが、本製品を使用することにより、リーフ茶復活につながればと思い、本商品を開発いたしました。ロッドや価格等、お気軽にお問合せください。

Mail:nakane@kakegawa-cha.co.jp

TEL:0537-23-3252