深蒸し茶

2019年7月 茶況_No.349

令和元年7月4日

二番茶の摘採が終了した茶園では、茶園をならす更新作業や防除・施肥作業などの管理作業を続けています。梅雨入りして雨の日が多いので雨間を見ての作業となります。

今年の二番茶は一番茶と同じで芽立ちが遅く、芽伸びを待って刈り取るような状況でしたので生産量は前年比20%減位に落ち着きそうです。生産前に雨が少なく、生産が始まってからは夜温が低く芽の成長にブレーキが掛かりました。昔の人は「二番茶は肥料で出る」とよく言いましたが、収入減からの減肥の影響も出ているのではと感じます。安定した売り先のない工場は安値相場による採算割から生産を打ち切る工場もありました。下値相場になってもドリンク関連業者の引き合いは弱く販売に時間を要し、下げ止まる様子が見られないまま終了しました。リーフ茶離れの影響から一番茶、二番茶ともにこの展開では、廃業する茶農家の増加に拍車が掛かりそうです。

産地問屋は仕入した二番茶の仕上と原料の用途別仕分けや冷蔵庫内の整理を進めています。二番茶需要はスーパー向けのリーフ袋詰茶とドリンク飲料用の原料に限られています。昔は各会社で社員が休憩時間に飲むお茶を大量に使ってくれましたが、お茶を入れてくれる女性社員もいなくなり、飲みたい人は自動販売機あるいはコンビニで買ってくださいという時代になってしまいました。その結果、スーパー関連かドリンク関連の取引先がないと二番茶の売り先はありません。会社需要が減少し、外食産業で使う業務用も減少、

家庭でもリーフ茶を日常的に飲む人は減少傾向にあり、ペットボトル茶が家庭内まで浸透して来ています。4月の一世帯緑茶購入量は前年同月比10%減の62gと発表されました。支出額はリーフ茶316円に対してドリンク茶601円と若い世代を中心にペットボトル茶が主流になっています。県内約1割の業者がペットボトル原料を扱い、例年は二番茶が下値になるとほとんど買い占めるのですが、今年は在庫があるのか買い気は弱く、底が抜けたような相場展開でした。各問屋ともに取引先が減少していますので、仕入先を絞り、仕入数量も減らしています。仕入する生産者には諸事情を説明して、一緒になって茶以外の併作農産物のアドバイスにも努め、共に生き残っていける策を考えています。

消費地では中元商戦に入り、店頭で冷茶接待を続けながら、「水出し煎茶」の販売や「帰省土産」販売に力を入れています。水出し煎茶(TB)をフィルター付ボトルに入れて冷蔵庫内にストックして常に冷たいお茶が飲めるようにと薦めます。2ℓのペットボトル飲料より自家製の冷茶は、おいしくて、安くて、プラゴミの出ない環境にやさしい飲み物としてお薦めします。荒廃茶園の増大、茶専門店の減少、産地問屋の廃業と業界を取り巻く環境はますます厳しくなり先が見えない状況が続きます。売れないとふさぎ込む経営者が多い中、原点に帰り、売れない時の時間の過ごし方、勉強の仕方こそがビジネスを転換させるチャンスでもあると教えてくれた社長さんがいました。

水出し煎茶が売れてます。

水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格450円 30袋入

1、「水出し煎茶」の原料は水出し専用の茶葉を使用して製造しています。抹茶入り

2、HARIOの「フィルターインボトル」とセットで販売したらいかがでしょうか

 

 

 

価 帯 帯

 6/7に始まった二番茶の仕入が6/27の掛川北部、倉真・原泉の入荷をもって終了しました。下げ止まりのない軟調な相場展開に終始した20日間でした。昨年の手持在庫と仕入満腹感から選択買い傾向が強く商いに時間を要する荷口もあり、在庫を増やしたくない、必要量しか買わない徹底ぶりと、下げ止まりのない展開に生産を早目に切り上げた工場もありました。当社の仕入価格帯は下記のとおりです。

 

仕入K数 66%        仕入金額 57%

仕入     比率 前年(平成30年)対比
300円 売   5% 32%
  250円 売   5% 40%
200円 売    28% 23%
 150円 売   62% 500%
100%  

参考 掛川茶市場取扱数量 82% 取引金額 70% 平均単価 86%

 

県内全体の生産状況は数量で2割減、金額で3割減といったところでしょうか。昨年は700円を切るとドリンク関連の買いが入り相場が持ち合いましたが、今年は下値になってもドリンク関連の目立った動きはなく下げ止まり感がないまま終了しました。リーフ茶は会社用・業務用の需要減、ドリンクは手持在庫の関係でリーフ・ドリンク用ともに買い気は弱く選択買いに徹した二番茶でした。二番茶が予約販売で売れた時代もありましたが選択買が徹底すると品質や価格で合格点に達しない荒茶が、さらに相場を下げる悪循環です。こんな安値が出る年はないので思い切って余分に仕入したという問屋といくら安値でも売るところがないという問屋の二極化で、過去に記憶のない価格と展開でした。

2018年清涼飲料全体の売上は4兆504億円と3年連続で最高を更新しました。その内

コーヒー飲料9230億円、緑茶飲料4471億円、ミネラルウォーター類2930億円、紅茶飲料1974億円、麦茶1182億円、ウーロン茶816億となっています。緑茶飲料が3%増の要因はほうじ茶人気が通年商品となったと分析しています。

盛期らしいヤマ場がないまま、ダラダラと下がり続け、生産を打ち切る工場が出るほど厳しい二番茶期でしたが解決策となる妙案はありません。「ピンチはチャンス」ととらえ業界全体で、考えて、考えて、考え抜く必要があります

今年の静岡県産一番茶・二番茶ともに天候不順や足早な相場下落展開から芽が小さいうちに摘採した結果、収量が一番茶・二番茶ともに前年比2割減と過去最低水準となり、収入も一番茶15%減、二番茶30%減になりそうです。減産でも価格が下がるのは、急須で入れるリーフ茶の需要減少と仏事も含めた贈答品の需要減小が大きな要因です。茶畑を栗や山芋や他の芋類・ニンニク・ショウガ・白ネギなどに転作する人も増えています。後継者のいない生産者も多く、70才を超えたり、機械が故障して使えなくなったらヤメルといった声があちこちで聞かれるようになりました。早急に産地の構造改革を進め、持続可能な茶業への転換を進めないと業界滅亡の危機です。