深蒸し茶

2018年7月 茶況_No.340

平成30年7月6日

二番茶摘採を終了した茶園では病虫害の防除や摘採面の殺菌などの茶園管理に取り組んでいます。今年は総じて二番茶の芽伸びが悪く、下芽の伸びを待って摘採を進めましたので、一日の生産数量が膨らまない日が続きました。例年ですと一茶摘採後43日~45日で二番茶の摘採を進めるのですが、今年の場合は適期まで50日前後掛かりました。5月下旬から6月初旬に掛けて雨が少なく、夜温が上がらずに肌寒い日が続いたことが主な要因ですが、減肥による樹勢の衰えや病虫害の影響など複合的な要因も考えられます。梅雨時期とは思えないカラッと乾燥した日が多かったのですが、湿気が多く蒸し暑い夜が続きますと植物の芽は成長します。今年のように、湿気がなく気温が低いと植物の成長は極端に遅くなります。

産地問屋は仕入れした二番茶の整理と仕上、発送作業を進めています。6月の出荷状況は、前年比10~15%減と非常に厳しい数字で、このままですと先行きへの不安は隠せません。今後も売上減による閉店、廃業が相次ぎ、リーフ茶の販売額減少は続くと見られます。新商品による新分野の開拓は必要不可欠な道ですが、事業の基本的な見直しと再構築も近々に迫られた課題です。総務省が発表した4月の家計調査によるとリーフ緑茶の支出額305円(69g)、コーヒー533円(223g)、茶飲料は584円でした。リーフ緑茶よりもコーヒー、茶飲料の支出金額のほうが多くなっています。時代によって消費者の好みも消費スタイルも変化していますが、売る側も消費動向にそって変化する必要があります。

消費地では水出し煎茶を中心に「中元作戦」の真っただ中です。店内で水出し煎茶を呈茶して販売促進につなげています。元気なお店は ①個性のある核となる商品がある ②緑茶のある生活シーンを提案している ③常に創意工夫を続けている。などの特長があるそうです。心と体を癒してくれる緑茶のアピールを続けていくことが肝心とお店で丁寧な対応に努めます。昔は夏になると、どこのお茶屋さんにもヤカンで煮出す麦茶が山のように積まれ、それが夏の風物詩でした。時が過ぎ、それが水出しティーバッグの麦茶に変わりました。そこまでは良かったのですが、いつしか麦茶がペットボトルになり店頭から姿を消しました。リーフ緑茶市場も年々減少して簡便性商品(ティーバッグ・粉末茶・ペットボトル)は増加しています。後始末が面倒だと思っている消費者が圧倒的に多いようです。

内閣府が発表した5月の景気ウオッチャー調査(百貨店の売り場担当者・タクシー運転手・商店街関係者から聞き取り)は2ヶ月連続で悪化しています。特に家計関連の消費が慎重です。世界経済は緩やかな上昇基調にありますが、日本国内の景気の動きには一服感が出ています。トランプ大統領の発する一言一言に世界中が振り回され、北朝鮮・ロシア・中国との対立など一挙手一投足に目が離せません。国内では、目を覆うような、そして考えられないような事件が多発しています。この先安心して平穏に暮らせ、幸せが実感できる日は来るのでしょうか。

大塚家具の業績不振を伝える記事が掲載されていました。先代が残してくれた100億円も90億円を使い残りは10億円だそうです。経営権を争った父親にも大塚家具を助ける余力は残っていないようです。茶業界も人事ではありません。再建に向けて、残された時間はそう多くはないのですから。

 

 

価 格 帯

 二番茶の仕入が掛川から北へ30kの山間にある春野町の有機茶の荷をもって終了しました。今年の二番茶は6/1~7/3まで1カ月間と非常に長い長い仕入れ期間となりました。朝晩の低温と水不足で芽伸びが遅れて1日の出回り量が膨らまずに長い長い二番茶期となりました。生産量は昨年並みで単価は10%安位でしょうか。当社の仕入れ価格帯は下記のとおりです。

 

仕入k数  112 %    仕入金額 101 %

仕 入 比 率 前年対比(平成29年を100%とした場合)
300円 売   9 %

250円 売    7 %

200円 売   76 %

150円 売    8 %

43 %

37 %

156 %

平成29年取扱いなし

100  %

参考 掛川茶市場 取引数量 94% 取引金額 84% 平均単価90%

 

二番茶需要は量販店(スーパー)向けとドリンク需要に限られています。昔は会社納品や業務用のお茶に二番茶を大量に使用しましたが、今は給茶器用のインスタント茶やペットボトルに変わりました。6/1に始まった二番茶も、出回り量が膨らんでこないことから、数量を確保したい業者もあり、しばらく下値が700円で止まって相場が持ち合いました。その結果、製造された二番茶の約8割が荒茶700円~900円の価格となりました。飲料関連業者の仕入量に目どがついた最終値は700円を割り込むものも見られました。ドリンク需要が主流になりつつある現在、二番茶以降の下物に需要が集中する状況は今年も変わりませんでした。

しかし、この需要の流れも将来は分かりません。世界では使い捨てプラスチック製品の生産を禁止したり、使用時に課金する規制導入済の国が67か国に上っているからです。

米国ワシントン州シアトルでは、飲食店や食料品店などでプラスチック製のストローやフォークやナイフなどの提供を禁じる条例が施行されました。ニューヨークやサンフランシスコでも導入が検討されています。日本はスーパーがレジ袋を有料化する例はありますが国としての規制はありません。G7サミットでもプラスチックゴミ削減の数値目標を決めました。日本は、世界から見ると取り組みの遅れが鮮明になっています。今後、使い捨てのプラスチック容器の規制が厳しくなりますと、現在主流のペットボトル飲料も、どうなっていくのか分かりません。