深蒸し茶

2016年6月 茶況_No.321

平成28年6月27日

二番茶の生産を終了した茶園では整枝や防除などの茶園管理が続けられています。今年は夜温が低く、茶期中は比較的に涼しい日が続いたことや摘採前の雨不足、摘採期に入ってからの日照不足、茶価安による減肥の影響で二番茶の芽伸びが鈍く、スローペースで進み、若干の減産で終了を迎えました。通常ですと一番茶摘採から42日~45日前後が二番茶の適期となりますが、今年は芽伸びが鈍く45日~49日前後の摘採となり、今までに経験したことがない二番茶でした。昨年は相場安から生産を中止した工場もありましたが、今年も価格安を見越して一番茶摘採後に更新園を増やしたり、採算ベースを考えて最初から生産を控える工場もありましたので二番茶の減産傾向は解消されていません。以前は一番茶は店頭販売、二番茶は会社納品といった需要がありましたが、現在はリーフ茶での会社需要は極端に減りました。インスタント茶を使用する給茶機やコーヒーサーバーやペットボトルの自動販売機が会社内に設置され、各自で利用するようになりました。10時・3時に女子職員の入れてくれたお茶で休息を取る古き良き時代は遠い昔の話になりました。現在の二番茶需要はペットボトル原料と量販店販売に限られています。ドリンク関連業者は中盤以降の下値物だけを主に仕入するために今年のように下値が持ち合い相場に入りますと予想数量に届かないために、中盤以降は予約販売中心の状況が続き強持ち合い相場になります。

産地問屋は仕入した二番茶の使途別整理や仕上・発送作業を進め、消費地と夏需要の情報交換を行っています。中元商品の受注も入り始め、前年並み確保が当面の目標ですが、英国のEU離脱のニュースが流れ消費はさらに落ち込みそうです。商工業者と生産者で組織する茶業会議所内でも生産量減少と茶価低迷で業績が悪化している業界に改革案が示されましたが、流通改革を本当に必要としているかは疑問です。販売に苦戦しているところはあっても、仕入に苦戦しているところはないからです。昔のように数量を確保するために各地の市場で必死に仕入するという動きは見られないからです。新しい茶市場という箱物をつくって、そのリスクを一緒に負いたくない、茶市場を作るなら売り手サイドの自己責任でお願いします、というのが商工業者の本音ではないでしょうか。消費にそった流通改革は必要ですが、その先は見えません。

消費地では中元商戦の対応に追われています。フィルターインボトルを使った冷茶が定着してきていますので「水出し煎茶」を前面に販促に力が入ります。急須を使って飲む需要が減少していることから、ティーバッグや粉末茶など生活形態にそった新しい提案も欠かせません。消費環境の変化に素早く対応できるお店だけが生き残れる厳しい時代です。冷蔵庫からお茶を取り出すことに抵抗はなくなっていますので、家庭で冷茶を飲むための新しいアプローチを熱心に続けているお店もあります。

英国はEUとは別の道を歩む。理念先行型の地域統合は終幕を迎えました。崇高な理想と現実とは差があり過ぎました。円安と株高に頼ってきたアベノミクスの3年半は、いま振り出しに戻ろうとしています。日本も世界も暗雲がたちこめ暴風雨になりそうな雲行きになってきました。警戒が必要です。

 

価  格  帯

6/7から始まった二番茶の仕入は6/25で終了しました。中盤以降は、ドリンク原料を扱う問屋の買い気に支えられ、品薄感から持ち合い相場に入り前年比高相場で終了を迎えました。生産量は前年比5%前後の減産、金額は前年比10%増位になりそうです。生産量は増産・減産など工場間格差が目立ちました。施肥などの管理に手間を掛けているかどうかが収量の工場間格差に影響しているようです。二番茶はドリンク関連業者と量販店販売業者が相場をつくりますが、ドリンク関連業者は総じてニ茶の仕入予定数量に届いていないとみられ、これから生産される三茶、四茶の予約を入れているところもあります。当社の二番茶仕入価格帯は下記のとおりです。

 

前年対比 仕入K数  94%        仕入金額   99%

仕 入 比 率 前年対比(平成27年を100%とした場合)
300円 売以上     10%

250円 売        9%

200円 売       50%

150円 売以下     31%

224%

123%

152%

46%

100%

 

下値物が少なく中級茶に膨らんだ価格帯ですが、仕入K数は予定数量ですので満足のいく仕入ができました。芽伸びの遅さから、フル生産になる日が少ない状況が続きました。当初は芽伸び不足、日照不足から色沢が悪く水色に難点のある物が多かっために仕入に神経を使いました。日照不足が解消されてからは例年通りの品質に戻り安心しました。更新茶園の多さや芽伸び不足が減産の要因とされていますが、基盤整備の遅れや生産者の高齢化による生産意欲の減退が減産傾向の一番の要因ではないでしょうか。生産者からは「今年は下値が高かったが経営が改善するレベルではない。安さばかり求めれば生産減少が加速するだけ」といった厳しい指摘もありました。しかし、ドリンク原料が主体の現在の相場体系では、高い価格帯の下落が早く、中盤以降の安い価格帯で下落が止まり底堅く推移する傾向は続きます。高齢化により生産者人数は減り続けますので生産量が極端に減った時に相場体系、価格比率は変わるのでしょうか。

 

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