深蒸し茶

2016年5月 茶況_No.320

平成28年5月18日

一番茶の摘採が終了した茶園では、二番茶に向けて施肥や遅れ芽の処理や茶園更新作業などの茶園管理を進めています。そして6月中旬から始まる二番茶の摘採計画を練ります。4/21(大安)の茶市場開きで始まった今季の一番茶取引は短期集中型で5/10(火)に終了を迎えました。5/6までは好天に恵まれましたので、摘採が順調に進みすぎて、芽伸びが追いつかないために摘採する茶園がないといった声もか聞かれました。ミル芽での摘採を進め、生産序盤の数量が伸びませんでしたので最終的には3~5%位の減産(前年比)と予想されます。昨年は県内荒茶生産量は過去最少を更新したと発表されましたが、今年は昨年をさらに下回る予測です。掛川茶市場の取り扱い数量は前年比93%、取扱金額97%、平均単価は荒茶価格2476円(前年比104%)という結果でした。有機認証を取得した荷口は輸出向けに引き合いがみられることや、抹茶原料のてん茶に活路を見い出して、従来の煎茶製造から転換を図る生産者もいます。ただし、取り組むとなったら生産工程を大幅に見直す必要があり、投資額が大きく、不安材料を抱えたままの転換となります。有機茶もてん茶も買手は限られるために長期的に安定した取引先を見つけることも課題です。

産地問屋は仕入した一番茶の仕上・発送作業に忙しく対応しています。また、確保した原料を用途別に仕分けして保管作業に対応します。今年のお茶は芽重型の力のあるお茶が多く、香味も良く取引先の評価も上々で安堵しました。これからも消費地と情報交換を密に進め、販売促進に努めます。県政には新たな政策課題が山積みで茶業振興に対する力は弱まっています。そして、農地の集積や共同管理など経営強化の面でも改善が遅れています。生産者の大会では「静岡茶の消費拡大により農家所得の向上を図ろう」とのスローガンが採択されましたが、掛け声とは反対に、なかなか活路は見いだせない状況が続いています。これからは業界内で淘汰が進み、良質茶を生産して買い手が決まっている生産者しか生き残れない状況です。問屋も同様に特色ある商品、新たな販路の開拓を強化しなければ生き残れないでしょう。国内消費の需要の減少から受給バランスが崩れて価格が低迷し、減産を招く悪循環に歯止めがかからない状況です。茶園の耕作放棄や茶農家の廃業、茶工場の閉鎖、あるいはお茶から他の作物に転作する生産者が続出しそうな雲行きです。

消費地では「中元商戦」の準備に入りました。新茶商戦の盛り上がりは薄れ、前年並みの売上確保には至っていないようです。これから始まる中元商戦では、今までの商習慣を根本的に覆す商品や売り方を提案していきます。

 

お中元に最適!!水出し煎茶が売れてます。

水出し煎茶(ティーバッグ) 80g(5gx16) 卸価格 450円 30袋入

「水出し煎茶」の原料は水出し専用の茶葉を使用して製造しています。抹茶入り

 

価  格  帯

 今季の一番茶は低温被害や凍霜害もなく、順調な生育で、良質な芽ぞろいの状態でスタートを迎えました。寒さの影響を一度も受けないで順調に生育したのは、10年に一度の良質な年だったと生産者が太鼓判を押す、品質が安定した一番茶でした。

しかし、急須でお茶を飲む人の減少は業界人に大きな打撃を与え、高価格帯での下落幅が1日500円~1000円前後になる日が続き、荒茶3500円以上の価格帯は前年に増して速いペースで下落が進みました。生産者からは「ミル芽摘採が価格に反映されなかった」といった不満の声も聞かれました。当社の一番茶仕入価格帯は下記のとおりです。

前年対比仕入K数  93%         仕入金額   95%

仕 入 比 率 前年対比(平成27年を100%とした場合)
2000円以上       1%

1500円 売       2%

1200円 売       4%

1000円 売      12%

800円 売      23%

600円 売      16%

500円 売      29%

400円 売       8%

300円 売       5%

100%

121%

68%

98%

91%

100%

140%

74%

37%

100%  

 

2000円売から400円売まで各クラス適量のバランスの良い仕入ができました。

県内の生産量は前年並みからやや少ない生産量に落ち着きそうです。後継者不足と地域によって不採算価格に突入して、今年から生産をやめる工場も多いとみられます。選別買いや系列化買いが今まで以上に多くなり選別に残る茶と残らない茶、取引先が決まっている工場と決まっていない工場とで価格も工場間に格差がありました。毎日の製造で半分以上が行き先が決まっている工場は、販売数量も取引価格も安定していましたが、安定した取引先が確保できていない工場は、価格交渉をすると取引が成立しなくなるために指し値で販売する状況が続き、速いペースで下落が進みました。これからは良質茶を作り続けて取引先から信頼を得て、安定した取引継続ができるようにすることが大切です。

一番茶を摘採してから43日~45日で二番茶摘採となりますが、量販店・飲料関連業者以外はニ茶への関心が低く買手は限定されます。二番茶の摘採計画に添って良質な生産を目指しましょう。

 

生産者の皆様へ

  • 二番茶の仕入は6/7(火)AM6:00より当社拝見場にて開始します。
  • 仕入基準 ①色沢のよいもの ②水色のよいもの ③夏茶臭コワ葉臭の少ないもの
  • 梅雨時期と重なりますので雨による中断を考慮して早目早目の対応をして下さい