深蒸し茶

2015年1月 茶況_No.306

平成27年1月26日

新年を迎えた茶園は洋々として自然の恵みを蓄え、今年の新茶を待っています。今年はどんな展開になるのでしょうか。茶園は、その先行きを心配しているようにも見えます。生産者は刈り取った茶草を茶畑の畝間に敷く作業を続け、とにかく品質の良い茶を出荷したい一念で管理作業を黙々と続けています。上場企業の年頭所感は、激しい経済環境の変化に対応し、新たな改革や挑戦を呼びかける力強いコメントが並びました。「世の中は大きく変わった。今年は改めて常識とは何かを問い、改革を進める一年としたい」スズキ鈴木修社長。

昨年12月に実施した生活意識調査によりますと、1年前より暮らしにゆとりがなくなってきたと答えた人の割合は9ヶ月連続で増え51%に悪化しました。消費増税と円安による物価上昇で苦しい家計の状況がうかがえます。安倍首相が年頭の記者会見で「全国津々浦々、アベノミクスの果実を味わっていただきたい」と述べましたが、アベノミクスが地方の景気回復に「つながらない」と答えた人が53%にのぼり、国民の期待感が高まっていないことが浮き彫りになりました。足踏み状態の中で新年を迎え、日本経済・個人消費など先行きは曇ガラスのように不透明です。

産地問屋は消費地に足を運び需要動向の把握に努めています。そして昨年の実績を踏まえ、今年の仕入計画と販売計画を検討します。12月~1月は例年動く問屋間の在庫調整の荷動きがほとんど見られず荷もたれ感を感じます。在庫過多の状態で新茶を迎えますと相場にも影響が出そうです。「静岡茶」の販路拡大のために、静岡県は

2015年度予算に対策費を盛り込み、ブランド力向上に力を入れます。静岡茶の魅力を発信するために島田市の「お茶の郷」周辺を中心として「ふじのくに茶の郷構想」の具体化を検討します。そして、茶の生産から流通・消費まで全般にわたる茶業振興策を国内および海外に発信していきます。特に未開拓地での販路拡大を急ぎ、海外での消費拡大も支援する方針です。

消費地では「年末商戦・年賀商戦」も終わり一段落の状況です。消費者の生活防衛意識は強く、財布のヒモは固いので好転の兆しは見られません。「福袋」の販売を実施して好成績を上げているお店もあります。お店に活気があり、地域になくてはならないお店を目指す姿勢が顧客にも伝わっているからでしょうか。「消費者ニーズを探り、買いたい物があるかどうかが大事」と前向きに販売努力を続けています。今年は消費動向が曇りから雨に変わるような厳しい状況ですが「なんで売れないか」を言う前に「どうしたら売れるかを考える」の言葉が印象的でした。デフレ脱却を目指す日本経済の行く先は分かりませんが、お客さまに満足していただけるように日々努力することは、どんな時代になっても変わらないことを痛感しました。

 

 

流 通 業 の 戦 国 時 代 は 続 く

 流通業は、まさに戦国時代です。巨大な企業の栄枯盛衰が他の業界より極端にみられます。ダイエーの株式上場が廃止されました。創業から半世紀余りでの消滅はダイエーの広めた総合スーパーが小売りの主役の座を失ったことを象徴しています。「良い品をどこよりも安く」今では当たり前のようにも聞こえるダイエーの経営理念は、かっては革命的でした。安売りをめぐる松下電器との戦争は語りぐさです。松下は反発して出荷を停止。和解するまで30年以上かかりました。ダイエーは荒れ地を切り開いたブルドーザー。名前は消えても、その功績と「流通革命」の遺伝子は永遠に残るでしよう。かって総合スーパーは何でも揃っていて価格が安いので、消費者にとって夢のような存在でした。しかし、日本中に物があふれると総合スーパーの魅力は色あせ、後を追った衣類のユニクロ、家具のニトリ、家電のヤマダ等の大型専門店に品揃えと価格で敗れました。大型専門店の安売りも出発店はダイエーです。平家物語の冒頭の言葉を思い出します。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。」遠く鎌倉時代より、時代の変化に乗り遅れた者は滅びる運命にあることを説いています。

かって小売り業界トップの地位にあった百貨店は1904年、三井呉服店が社名を「三越」に変更したのが始まりです。百貨店は当初、上流顧客を対象にしていましたが、関東大震災をきっかけに大衆化を図り、急成長を遂げました。さらに1929年に鉄道会社である阪急が梅田に百貨店を開業し、ターミナル百貨店が誕生します。しかし、60年代に入ると総合スーパーとの競合が始まり、1972年には三越がダイエーに売上高で追い抜かれます。ダイエーやヨーカ堂などの総合スーパーは、大量仕入れにより、百貨店や専門店より価格を安くできるようになり、購買力が旺盛な高度成長期の生活者に必要とされて成長します。他方で衣類の青山・ユニクロ、家具のニトリ、家電のヤマダなど総合スーパーより安く品質の良い商品を提供する専門店が台頭してきます。消費者はすでに安いだけでは満足せず、付加価値を求めるようになっていました。かって百貨店から総合スーパーが客を奪ったように、今度は総合スーパーが大型専門店に顧客を奪われていったのです。

そして現在、総合スーパーを抜いて小売業売上高トップに立ったのが、セブンイレブンです。弁当など商品開発力の強化と物流システムの構築、売れ筋商品を開発して欠品をなくす情報システムの構築により経営効率を高めてきました。来店頻度を上げるために宅配便の取り扱い、チケット販売、公共料金の収納代行、ATMの設置など、「コンビニに行けばすべての用は足りる」と消費者に支持されるようになっていきました。今後、コンビニを脅かす可能性があるとすれば、街中にできる「ミニスーパー」とアマゾンなどのネット系小売業でしょう。セブン&アイが徳川幕府のように長期政権となるのか、ミニスーパーやアマゾンがそれを転覆させる黒船となるのか、流通業の戦国時代は、まだまだ続きそうです。

伊勢神宮は20年に一度、場所を移し、社殿を建て替えて式年遷宮が行われます。企業も時代の変遷に対応できるものだけが生き残れるということでしょうか。

あのトヨタも燃料電池車(水素自動車)へハンドルを切りました。