深蒸し茶

2014年1月 茶況_No.296

平成26年1月22日

昔から「一富士 二鷹 三なすび」は、初夢に見ると縁起が良いと言われています。皆様の今年の初夢はいかがでしたでしょうか。昨年は日本中がわいた富士山の世界文化遺産登録。「三保の松原」も含めての登録は静岡県にとって何よりの明るいニュースでした。私も、さっそく30年振りに三保の松原へ行ってきました。広重が浮世絵に描いた風景そのままが目の前に迫り感動ものです。以前は観光客もまばらで閑散としていたようですが、登録後は観光バス、自家用車で付近の取り付け道路は大渋滞しています。観光バスの重みと排気ガスで松の木が痛み出してきましたので、これからはバス乗り入れに規制が掛かるそうです。以前は閑古鳥の土産店も、現在は大盛況で顔も自然とほころんでいるように感じられました。想定外は、ふつう悪い事の方に使われますが、三保の松原の土産店は想定外の売上増に嬉しい悲鳴です。安部政権の経済政策「アベノミクス」の要は「三本の矢」で景気の歯車を回すことでしたが、景気循環の歯車をきしませる障害も目立ち始めています。そして、景気の先行きを不安視する企業は利益を従業員に還元できなくなっています。それは利益の出ている時に次の体制を整えておこうとする姿勢からです。特に製造業は少しでも費用を削減しようと賃金の安い地域に進出します。これからもTPPや自由貿易協定の締結で関税の壁が無くなれば、物づくりの現場が人件費の安い国に移る「産業の空洞化」が加連する恐れがあります。これでは製造業の雇用増加や賃金アップは難しいと言わざるをえません。4月の消費増税は食料品・衣料品や光熱費の負担増を家計に強いることになります。さらに来年は消費税率が10%に上がる可能性もあります。消費者の将来に対する不安はくすぶったままで、豊かさを実感できるようになっていないのが現実です。自己防衛本能はさらに強まりそうです。静岡銀行は本県主要産業の製造業の展望について、日本一の茶処としての地位は盤石ではないと危機感を指摘しました。そして、消費者のリーフ茶離れ、就労者の高齢化、茶園の老朽化などの直面する課題を挙げています。茶離れ対策としては、お茶の機能性をアピール、簡便に飲める提案、他産業との連携など、きめ細かいニーズへの対応が重要との認識を示しました。茶業界も相当大きな変革をしなければ、早晩行き詰まることは目に見えています。正月の風物詩ともいえる築地市場の「マグロの初競り」も今年は大幅に値を下げました。最高値を付けた大間産の本マグロが736万円。昨年は1億5500万円でしたから、大幅下落です。驚きの声より「過去3年がおかしい。今年が適正価格」など冷静な声が目立ちます。景気のバロメーターとも言われる初競り価格ですが、ライバルが降りたとはいえ景気の先行きに不透明感と不安感が残る結果でした。

毎年約30万人の登山者が訪れ、日本文化の価値を世界に評価された富士山。その効果はてき面で登山客や観光客が外国からも続々と押し寄せています。しかし、山とその周辺には対処すべき課題が山積しています。適切に保全管理し、後世に継承する方針・手法などを3年後にユネスコに報告する義務があります。不十分と判断されれば登録抹消もあり得るのです。そんな世の喧騒を余所に真白な雪を冠した富士山は、今日も泰然と構え動じません。万人の心に通じ、心の奥深くを満たしてくれる富士山のようになりたいと思う年の始めです。本年もよろしくお願い申し上げます。

 

 

スーパーは「税抜」 百貨店は「税込

 

今年4月から消費税率が5%から8%に引き上げられてスタートしますが、今回は大きな問題が2つあります。1つは税抜表示にするのか税込表示にするのか。増税後は「税抜表示」も認めるとしたために複数の表示方法が並列することで混乱も懸念されます。2つ目の問題は来年消費税が8%から10%になるかもしれません。カタログなどの印刷物を総額表示で記載しますと、カタログや看板など商品価格が記載されているものすべてを、1年半後に変更しないといけませんので対応が繁雑になり混乱が予想されます。今回は表示方法をめぐりスーパーと百貨店で対応が分かれることになりそうです。大手スーパーは「本体価格+税」の外税方式、百貨店は「総額表示」の内税方式になりそうです。そもそも消費税は消費する人が負担する税です。価格表示が外税でも内税でも、レジで支払う金額は同じなのになぜ騒ぐのでしょうか。他社と違う表示をして「高い」と思われるのが怖い。あるいは値上げで売上が減るのを心配するからです。1円単位の安値競争で消費者の取り込みにしのぎを削るスーパー業界は商品が値上げした印象を与える総額表示(内税)に抵抗感が根強くあります。税込1050円だったものが1080円に値上がりする。しかし、これは増税による値上がり分であり、本体価格を引き上げたからではありませんと明確にしたいのです。一方、百貨店は総額表示は支払額と同じで、お客様にとって一番分かりやすい、内税の方が親切との見方です。

各社の対応はどのようになっているのでしょうか。「イトーヨーカ堂グループ」は総額を大きく表示して本体価格を、それより小さく併記する案で調整中です。「イオングループ」は本体価格と総額を併記する案で調整中。「しまむら」や「無印良品」は総額表示。「ユニクロ」や「ニトリ」は「本体価格+税」とする方針を明らかにしましたので、これまで1050円だった商品は「1000円+税」と表記される見通しです。

電気メーカー作成のカタログに記載する希望小売価格は税抜表示で統一することを決めました。各社の直販用サイトの価格も税抜表示とします。消費税が来年10%へ引き上げられた場合でも、カタログを新しくせずに済むようにするのが目的です。印刷物へ価格を記載する場合は10%になっても使用できるように対応するためです。

 

         1080円(税込)               1080円(本体価格1000円)

 

1000円(税込1080円)       1000円+税

 

消費者に最も低価格を訴えられる表示を各社探っている状態ですが、他社の動向を見ながら、最終的には企業ごとの判断となりますので、異なる価格表示が混在することになりそうです。外税表示をする場合は店内に「当店の価格は全て税抜き表示となっています。精算時に別途消費税相当額を申し受けます。」の掲示が必要になります。また、消費税分を値引きする等の宣伝や広告が禁止されます。「消費税は転嫁しません」「消費税は当店負担」「消費税分値引きします」「消費税相当分ポイント付与します」などの広告表示はできません。値札・広告・カタログ・チラシなど色々なところで注意が必要です。