深蒸し茶

2013年1月 茶況_No.285

平成25年1月31日

新しい年を迎えた茶園は生気に充ち、良好な状態を保っています。生産者は茶園を定期的に巡回して、防寒対策や乾燥対策に気を配ります。また、茶業経営の体質強化に向けた研修会に積極的に参加して勉強しています。生産者の高齢化や放棄茶園が増える状況を受け、低コスト生産と茶園の共同管理や品種茶の特徴をテーマに勉強して知識の吸収は欠かせません。

産地問屋は仕上と発送作業をこなしながら、在庫の調整を進めています。並行して、需要を探る情報収集に努めながら販路拡大に向けた販売計画を練ります。在庫は適正からやや減とみられ、補充仕入する産地問屋もありますので、昨年に比べますと荷動きがあります。しかし、消費環境は厳しく12月は10~15%減、年間では5~10%減と危機感を強めています。

安部新政権の発足を受けて、円高の是正と株価の回復が進み、景気回復への期待が高まっています。安部新政権の金融・経済政策は「アベノミクス」と言われていますが、アベノミクスの目的はデフレを脱却して、年率2%程度の「マイルドなインフレ」の環境を作り出すことで、アベノミクスは「公共事業・金融緩和・成長戦略」の「3本の矢」と呼ぶ政策の組み合わせで成り立っていますが、まず先に取り組むのは、公共事業と金融緩和政策です。しかし、この矢を外し、失敗すると借金の山となる覚悟をしなければいけません。3本の矢はデフレから抜け出すためのカンフル剤にはなりますが、副作用もありますので、長い間は打ち続けられません。カンフル剤が効いている間に自主的に歩ける体力をつける必要があります。デフレから脱却するには国民の可処分所得が増えて、お金が経済に回っていくことが不可欠です。アベノミクスの考え方は理解できるが、給料が上がらないで、物価が上がっただけというのは勘弁してほしいとの切実な声も聞こえてきます。企業や個人の所得が増えたとしても、将来不安から企業は内部保留、個人は貯蓄に回して消費に回らないとの見方もあります。アベノミクスが「アベノリスク」にならないように祈るばかりです。

特に今年は消費税の増税を控えていますので、消費者の財布のヒモはさらに固くなり、消費不況はさらに厳しさを増しそうです。そして、デフレ圧力がさらに強まる可能性があります。消費税率が3%から5%に上がった1997年は、大手スーパーがこぞって「消費税分還元セール」で「安さ」を前面に打ち出し顧客を奪い合ったことを思い出します。大手スーパーの低価格競争は歯止めがかからず、また同じような消耗戦になるのではないでしょうか。

円安と株高が経営心理を温め、消費者に将来への安心感が生まれれば消費マインドは上がります。景気は気からとよく言われますが、今回の安部首相からは「やる気」が伝わってきます。2度目の政権運営となりますが、前回の「お友達内閣」とは確かに違い「実戦内閣」です。前回は健康を理由に簡単に政権を投げ出しましたが、国民の期待に応えるためにも、今度は命がけで粘ってほしいものです。