深蒸し茶

2012年6月 茶況_No.277

平成24年6月6日

茶園では二番茶の摘採に向けて管理作業が進められています。今季の一番茶は繰越在庫がなく、高価格での取引が期待されましたが、摘採が遅れたことにより新茶商戦の上級茶需要を取り込むことに大きく影響が出たこと、5/2~5/3の雨とその後の気温の上昇により増産傾向に推移して、供給が需要を上回ったこと、5/9の雨後は葉の硬化による品質低下が極端に見られたことなどにより価格下落に歯止めがかからず平均単価を押し下げました。燃料費の高騰、肥料の値上り等、経営環境はますます厳しさを増しています。ここで踏み止どまらないと将来はないと生産者の取り組みも正念場をむかえています。産地問屋は仕上げと発送作業を続けるとともに、仕入した一番茶の仕様別の整理と保管、まもなく始まる二番茶の仕入計画を立てています。

新茶の販売情勢はたいへん厳しく、売上は前年比15~20%減となり、先行きへの不安がかくせません。「消費者から見た新茶が新ジャガ、新玉ネギと何ら変わらぬ年一回訪れる農作物のご案内に過ぎないといちべつされただけとは情けない。」と嘆いた問屋さんがありますが、確かに昔のように新茶・新茶と珍重され贈られるという季節感は年々薄くなっていくような感じがします。特に今年は静岡の出荷が遅れたことにより、早場所の鹿児島へ新茶商戦が移行したような気がしました。しかも、この傾向が年々強まっていくように感じます。静岡も抜本的な対策が必要です。総務省がまとめた家計調査によりますと、1月~4月の緑茶支出金額は前年同期比8.4%減(126円減)の1374円、数量は10.5%減の290gと厳しい数字が発表されました。

消費地では「新茶商戦」が終わり「中元商戦」の準備を進めています。昨年は放射能問題が影響して、贈答用は大幅減を余儀なくされましたが今年は安全、安心とお値打価格の静岡茶を積極的に薦めています。景気低迷により、消費者の財布のヒモは固く、顧客にどれだけ近づくかが大きな課題となっています。そのためには「商品構成」「接客」「対象顧客層」など多方面から店舗運営の在り方を見直します。野田内閣は消費税率引き上げを柱とする社会保障と税の一体化改革関連法案の成立に遮二無二突き進んでいますが、国民感覚とのズレを修正することが忘れられているのではとの声も聞かれます。流通の構造改革とはそのものズバリ。消費者ニーズとのズレをいかに修正するかの一点に掛っています。有り体に言えば「顧客にどれだけ近づくか」。修正し近づくことが出来なければ消え去るのみです。この実行が消費回復をもたらす原動力と信じて各お店は懸命の努力を続けています。

 

生産者のみなさまへ

  1. 二番茶の仕入は6/15 AM6:00 より、一番茶は5:00でしたので時間を間違えないように
  2. 仕入基準は①色沢のよいもの②水色のよいもの③夏茶臭、コワ葉臭の少ないものとします。
  3. 梅雨時期と重なりますので、雨による中断を考慮して製造してください。

 

価 格 帯

 

掛川茶市場開(4/27)で始まった今年の一番茶仕入は5/23の春野町の入荷をもって終了しました。今年は約1か月間と長丁場の仕入となりました。山間地は夜温の低下、生産者の高齢化、芽数の薄さ等で10%前後の減産ですが、それ以外の地域では10%前後の増産のようです。相場は終始弱気配で、平均単価は前年比10%下落しました。ゴールデンウィーク前の売れる時期に新茶が間に合わなかった、景気低迷による新茶の売り上げ不振、風評被害、増産による供給過多、5/10以降のコワ葉化による品質の低下、大手の買いが入らなかったこと等が要因と考えられます。特に5/9の雨の後に1000円台が出始めると底の見えない状況となりました。さすがに終盤の安値圏に入るとドリンク関連の買いも入りましたが、例年以上に問屋の選別買いが強まった年でもあります。当社の一番茶の仕入価格帯は下記のとおりです。

 

前年対比 仕入K数108%     仕入金額 104%

仕 入 比 率 前年対比(平成23年を100とした場合)
2000円売以上     0.8%

1500円売       4.2%

1200円売       5.5%

1000円売      10.5%

800円売        23%

600円売        16%

500円売        26%

400円売         7%

300円売         7%

59%

129%

96%

104%

99%

96%

105%

110%

182%

100%

 

掛川茶市場の取扱数量は118%、取扱金額は103%となっています。掛川茶市場の価格帯は荒茶3000円以下が70%と中下級茶が圧倒的に多く、上級茶が少ない構成になっています。冬場の冷え込みで茶樹の休眠が十分に取れ、適度な降雨にも恵まれて良質茶が生産されましたが、上級茶手当の日数は4/30~5/2の三日間と非常に短い間に良品の年間必要量を確保しなければいけない神経戦が展開されました。5/2~5/3の雨で摘採が二日間中断され、その後の気温上昇により葉の硬化も進み、値崩れした産地が目立ちます。6月中旬から二番茶の生産が始まりますが、生産が遅い産地では、二番茶生産を取りやめる工場も出てきそうです。

一番茶では掛川の全荒茶工場70工場すべてで放射能検査を実施しましたが、全工場「検出されない」の2ベクレル以下でした。二番茶も掛川の全工場で検査を実施します。