深蒸し茶

2011年7月 茶況_No.269

平成23年7月15日

二茶摘採を終了した茶園では施肥や防除などの茶園管理が進められています。6・7月の気温が平年より高く、降水量が少ないために病害虫発生の注意報が各指導機関より出されていますので、茶園をこまめに巡回して適期な対応を心掛けます。

産地問屋は仕入した二番茶の仕上げと保管作業を精力的に進めていますが、連日の猛暑と節電により身体への負担は限界に近いものがあります。県内二地区の一番茶の製茶から国の暫定基準(500ベクレル/k)を超える放射性セシウムが検出された問題を受けて、掛川市では緊急対策会議を召集、検査済の一番茶32工場に加え、二番茶の検査31工場を実施、検査終了後に安全を再確認して、松井市長の発案により「掛川茶安全宣言」を発表しました。同時に掛川茶のイメージアップを図るキャンペーンも展開します。放射能問題と厳しい暑さにより、6、7月の出荷は2割前後のダウンとなりそうです。

静岡県内には自動車メーカーの工場が多数あります。すべての工場において7月から「土日操業」が始まりました。そのために、この夏の生活が大きく変わります。保育園によっては土日保育を実施するところもあります。家族すれ違いの生活が始まる人も多く、今夏は家族そろって遊びに行く時間はなくなると戸惑う人もいます。また「働いても働いても楽にならない」現実に日本脱出の声まで聞かれるようになりました。

消費地では中元商戦も一段落して冷茶のPRに力を入れています。日中は暑さを避けるために商店街の人通りもまばらです。暑い中、お店にお越しいただいたお客さまに冷茶による接客を心掛けコミュニケーションを図るように心掛けています。「商品を手渡しする、香り高いお茶を出す、おしゃべりをする、心と心のつながりができる」温かいコミュニケーションの創生が私のお店の売りものです、と地域の心のふれ合いを大切にしています。消費者は公表された数値をどう評価していいのか分からず不安心理につながっていますので、お茶を毎日飲んでも健康への影響を心配するレベルではないことを丁寧に説明しています。連日の暑さで、しばらくは厳しい展開を強いられそうです。

長引くデフレの影響で所得の目減りが続く日本社会の実態が明らかになりました。ピークだった1994年より2割以上減っています。正社員に比べて所得の低い非正規社員は景気の動向次第で収入そのものを失いかねない不安定な立場を浮き彫りにしています。サラリーマンのお小遣いもバブル後の最低水準です。平均額は月36500円で昨年より4100円減。仕事帰りの外食回数は月2.9回と前年と同じですが、1回の飲み代は3450円と昨年より650円減っています。昼食代も10円減って490円に。飲み代や昼食代を削ってしのいでいる様子がうかがえます。お父さん達も節約のために懸命にがんばっています。

大震災、原発事故という未曾有の危機は日本にかつてなかった深刻な試練をもたらしています。この試練に日本はどう向き合うべきか。政治の手腕が問われていますが、頼りない首相、頼りない政府に国民の苛立ちは極みに達しています。単なる復旧・復興ではなく日本をリセットして再生するという覚悟がないと立ち直れないと強く感じています。かつ強力な指導者が出てこなければ日本は立ち直れないと強く念じています。日本の総力を結集して日本再生に挑む強い意志の共有が今求められています。

 

価格帯

 

6月14日に始まった二番茶の仕入は、7月11日の掛川市から北へ30kの山間地、春野町の有機茶の入荷をもって終了しました。今年は放射性物質問題を受けて一番茶後に台切りや中切り更新した茶園、二番茶後に深刈りや浅刈りした茶園が多く見られます。指導機関では6月中にできるだけ剪枝して葉を落とすこと、また山草の茶園への敷草は今年に限っては行わないように指導しています。そして、茶園を土壌改善するために苦土石灰などを使って管理の徹底を呼び掛けています。生産者にとっては夏場の大変な管理作業となりますが、来年の一茶生産に大きく影響するだけに今まで以上に基本管理を徹底します。連日の猛暑により、朝夕の気温の比較的低い時間帯に集中して管理作業を進め茶園に気を配ります。当社の二番茶の仕入価格帯は下記のとおりです。

 

<価格帯>    前年対比  仕入K数 222%  仕入金額 243%

仕入比率 前年対比(平成22年を100とした場合)
 300円売以上 19% 264  %
250円売 10% 175  %
200円売 32% 187   %
150円売 36% 268  %
150円売以下  3% 83    %
100%  

 

 

今年1月に放映された「ためしてガッテン」効果により掛川茶の二番茶在庫が底を突いたこと、今年も継続して掛川茶の販売が見込めることから昨年比2.2倍の仕入量となりました。静岡県内の二番茶の生産量は前年比8~10%増産、価格は5%前後高と予想されます。在庫薄の割りには価格も安定し、品質も良質なものが多く生産されましたので今後の売れ行きが期待されます。

鹿児島産の二番茶は堅調相場が続き4割高で終了しました。現在生産中の三番茶も高値基調は変わらず、約4割から5割高で推移しています。飲料メーカーが数量確保に動いているためと見られています。今年は古茶や九州産の極端な値上がりなど、異常ともいえる相場展開でしたが、  2011年産の9割の茶生産は終了しました。

県の組合が実施した風評被害のアンケート調査によりますと回答189通の内、商品の返品・キャンセルが82件、売上減少が122件(1~5割減)、商談がスムーズに進まない、来店客の減少、中元用・仏事用などで茶離れ、3月以前の古茶が欲しいと言われた、国の指針・県の対応への不信感・・・等たくさんの意見が寄せられました。