深蒸し茶

2011年1月 茶況_No.265

平成23年1月8日

茶園は厳しい寒さに耐えながら、新しい年を迎えました。茶園の畝間に施された敷草は防寒や保水に大変効果を上げています。厳冬期に入り茶の木は休眠していますが深く長いほど茶の木にとっては活力を養う好条件になります。茶農家の方は茶園の巡回を怠りなく、防寒や防風対策のチェックをします。よいお茶は、よい茶園からが鉄則ですので、根の張り具合や土づくりを注意します。昨年は県内広範囲で茶園が大規模な凍霜害に見舞われましたが、忠実な茶園管理の徹底から茶園も見事に回復しました。農家の高齢化が進み、作業の大変な小さな茶園は借りてもなく、放棄されていく茶園も見受けられるようになりました。茶農家数は10年前の半分に減少しています。副業として山芋・レタス・ショウガ・にんにく・花などをつくって売る農家も増えてきましたが、本業がよくならならなければ解決の糸口にならないことは生産農家の方達が一番強く感じています。解決策を論じ、情報交換もしながら春肥の準備を進めます。

産地問屋は生産者・消費地と情報交換を進めながら、今後の茶況推移の予測や今年の新茶の動向と対策を練り、営業活動と販路拡大に努めています。しかし、需要減、価格低迷、景気低迷の三重苦の解決策は見つかりません。何とか前年並みを確保しようと努力するのですが、12月は10~15%の売上減を強いられ、適正と思われた在庫も過剰感に変わりつつあります。昨年末の売上不振から、今年の新茶の相場を心配する声も聞かれます。地方経済は厳しい環境に直面し、シャッター通りや耕作地の放棄が起き、一部中小企業が廃業に追い込まれています。県内に本社のあるスズキ会長は「まだ右肩上がりだった過去の記憶が残っている。今までの夢も実績も経験も忘れ、生まれ変わる年にしたい。」と新年の抱負を語りました。

消費地では歳暮・年賀商戦が終わり、家庭用茶の販売に力を入れながら新茶商戦の計画を練っています。昨今は長引く不況とライフスタイルの変化を背景に消費者の節約志向はさらに強まり、苦戦が続きます。消費者に選ばれる店になるために丁寧な接客を徹底して、顧客の満足を高めるために奮闘しているお店も目立ちます。消費者は確実に店を選択しています。消費者に魅力を感じてもらえる店にならなければ当然支持は得られません。「この店で買いたい」と言われるように努力は続きます。

「ためしてガッテン」放映決定

1月12日(水) 午後8:00~8:43のNHK「ためしてガッテン」に「掛川茶」が紹介されます。内容はがんによる死亡率が日本一低く、医療費も全国平均と比べて20%以上も低い驚きの町として登場します。なぜそんなに長寿で元気なのか?その秘訣は「掛川の深むし茶」を常に飲み続けているからと紹介します。*普通の茶葉の場合はすり鉢で粉末にして飲む方法もガッテン流として紹介される予定です。過去に経験したことのない絶好の販売機会です。是非店頭に深むしの「掛川茶」を揃えて販売してください。のぼり・ポスター・小ポップ・小シールの販促品も用意してありますので、お申し付けください。

 

速報 1/13(木)の読売新聞朝刊の全国版に全15段で「掛川茶」の宣伝広告が掲載されます!!

 

企業の目的は顧客の創造

 

マネジメントの父といわれ、多くの経営者の信奉を集めたピーター・F・ドラッカーの経営思想は「企業の目的は顧客の創造」という一文に集約されます。また、日本商人の父といわれた商業界創立者の倉本長治は「店は客のためにある」と商人の進むべき道を示しました。しかし、時代は再び混迷して、二人の説いたその基本理念は、ないがしろにされている感がします。そして、経営者はみな、明日の道標を見失い、苦悩しています。

日本有数の一等地、東京の有楽町。その中心にあった百貨店「西武有楽町店」が一年で最も忙しいクリスマスの25日に26年間の幕を閉じました。新しく衣料・雑貨の専門店を集めたファッションビル「ルミネ」に変わります。百貨店時代の終焉を告げ、「街の顔」が交代するわけですが「栄枯盛衰」が世の習いとはいえ、一抹の淋しさを感じます。「西武有楽町店」はバブル崩壊前までは、目新しい衣料品やおしゃれな雑貨をそろえ来店客の心をゆさぶりました。そして、開業時の混雑ぶりは「マリオン現象」と騒がれました。百貨店は個人商店しかなかった時代は、消費者にとってあこがれの場所でした。しかし、総合スーパーや大型の商業施設が次々と開業し、個性あるファッション店や低価格の衣料品店の出現、インターネット通販の普及など、消費の場が多様化した結果です。しかし、時代の変化は早く総合スーパーも行き詰まりを迎えています。食品売り場は好調なのに、衣料品売り場に活気は見られません。時代を逆行したような、一昔前の売り場の雰囲気から、今の時代を反映した大型専門店に商品も売り場も劣っているのが現状です。すべての価値基準がこの10年間で大きく変化しました。ものすごいスピードの変化に対応できる運動神経がないと顧客離れはますます進み、取り返しのつかない状態になってしまいます。対応すべき環境の変化をいち早くとらえ、自らが変わるという対策を早急にとらないと厳しい状況にすぐに陥ります。倉本長治は自著で常に提唱している言葉があります。「店は客のためにあり、店員と共に栄え、店主と共に滅びる」この混迷の時代、経営者がどう戦略を構築するかが、激動の新時代を生き抜く鍵となりそうです。お客さまの満足を維持し続けることは並大抵のことではありません。世相が顧客の要求が常に変化し続けているからです。これから変化はさらに加速し、少子高齢化によって消費がますます低迷し、内需はさらに縮んでいきます。デフレ不況下の消耗戦、経営の舵取りはますます難しくなり、どんな業種も、どんな企業も、10年後も変わらずに営業を続けられる保障はありません。お客さまが何を望み、どんな価値を求めているのか、お客さまとの対話の中から自分は何をすべきかを見つけ出し、中長期的な経営戦略を見直す努力は常に欠かせません。一度来店してくださったお客さまが再度来店してくれる保障もありません。百貨店や総合スーパーが栄えた時代は「千客万来」でよかったのでしょうが、価値やサービス等の競争が激しくなった現在は「一客再来」のためにお客さまの期待に応え続けなければいけないのです。しかし、お客さまに喜ばれるもの、期待するものが絶えず変化しているから厄介です。常に感性を研ぎ澄まし、勉強を続けていないとお客さまの満足を維持することはできないからです。「強いものが生き残るとは限らない。賢いものが生き残るとは限らない。変化するものだけが生き残る。」とは進化論で有名なダーウィンの言葉ですが、「西武有楽町店」の閉店は私達にいろいろなことを教えてくれました。先行きが見えなくなると誰もが萎縮してしまいますが、時代の変化に対応できるように、抜本的な改革を行う年にしたいものです。