深蒸し茶

2011年2月 茶況_No.266

平成23年2月11日

茶農家の方は、新茶期に向けた茶園の点検や春肥の準備などの管理作業に努めています。指導機関は新しい害虫への警戒を呼び掛けたり、昨年の凍霜害や水不足で弱った茶園の樹勢回復に向けた茶園管理の技術指導を各地域で開催しています。茶樹の状態に合った、そして基本に立ち返った管理を徹底するように呼び掛けています。最近、行った茶生産者意識調査によりますと、茶業従事者の年令は60歳以上が6割以上と高齢化が目立ち始めています。経営形態は専業が1/4、兼業が1/4、農業外収入を主とする二種兼業が1/2と、農業収入だけでは生活ができない実態が浮きぼりになりました。茶業経営の課題は1.製造コストの割りに価格が安い(60%)、2.後継者がいない(48%)、3.安定した販路の確保(37%)、4.茶工場労働力の確保(23%)と続きます。全体的に経営基盤が弱く、茶園の貸し借りや作業の共同化などが必須として、地域一体となった経営への転換を模索します。

産地問屋は市場拡大に向けた企画商品を考えながら、消費地営業に力を入れています。掛川市では2005年に掛川市立病院内に「緑茶医療研究センター」を開設し、緑茶の医学的な効用について臨床研究を進めてきました。2年前から3年計画で始めた「掛川スタディ」には市と農林省が毎年1億円を負担して、市民の絶大な協力を得て、人を対象とした緑茶の効能を検証する大規模な研究に着手しました。その内容が、先日、NHK「ためしてガッテン」で紹介され「掛川茶」と「深蒸し茶」に話題が集中しました。各問屋とも放送終了後、5日間位は問い合わせの電話でパニック状態となり、予想以上の反響の大きさに驚いています。掛川駅構内の販売店「これっしか処」も、お茶部門に限り、昨年比5倍の売上があったそうです。放送では1日にお茶を6杯以上、長期間飲み続けることによって、その効果が期待できるという内容でしたので、一人当たりの買上数量が大きかったことも好影響につながっているようです。あるスーパー納品業者は、事前にスーパー側と交渉して通常の棚置きとは別に、トップへ「掛川茶」「深蒸し茶」のコーナーを設けて販売したところ、翌日には売り切れが続出して通常の3倍売れたとの報告もありました。今回の降って沸いたような特需が、一過性で終わることなく、継続した販売に継げないと意味がないことから、組合内でも新茶に向けて二の矢、三の矢の宣伝手法を連日協議しています。

消費地では、新茶期に向けた企画・準備を進めながら消費動向の把握に努めています。先日のテレビ放送前の情報により、チラシ・のぼり・ポスター等で事前に準備しておいたお店は固定客とは別に新規客の獲得につながったようです。今後、新規客がリピーターになるためのアプローチの方法も考えています。最近は郊外型大型ショッピングセンターの乱立により、商店街の衰退が極端に目立ち始めています。商店街の活性化には地域密着しか生き残る道はないと、野菜を中心とした朝市や軽トラ市、街中カフェを開いて、地元の人達とのふれあいの場を大切にしている商店街もあります。土曜とか日曜にイベントを打ち、地域再生を目指します。こうした商店街には、同時に自分のお店の活性化につなげようとしている意欲的な若手経営者も目立ちます。

商品のご案内

商品名 入目・容器 卸価格 1ケース入数 摘要
紅ふうき ティーバッグ3g×12袋 350円 30本 花粉症対策
当煎茶(缶タイプ) 煎茶190ml缶飲料 1890円 30缶 送料別途
当煎茶TB紙コップセット TB 5g×80紙コップ80ケ 1620円 5セット 送料別途
  • 上記価格には消費税が別途かかります。3.当煎茶缶タイプは3月初旬製造予定です。
  • 当煎茶は掛川茶を使用しています。  4.詳細は当社までおたずねください。

 

ウーマノミクス

 

経済の停滞、政治の混乱、財政再建の遅れ、東アジアにおける緊張の高まり、さらには少子化と人口減少によって国内消費がさらに冷え込む日本経済。価格競争はますます強まり、さまざまな流通業が一部の大手に寡占化されるようになっています。頼みの輸出では新興国のライバルとの激しいコスト競争にさらされ、大手製造業は中国からシフトして、インド・ベトナム・インドネシア等のアジア諸国への進出が止まりません。日本の消費者は物に恵まれ、欲しい物がないと言うのが現実です。ですから、今までにない新しい商品iPad、iPhon、スマートフォン、LED電球など手元にない物はよく売れています。

ウーマノミクスはWomen(女性)とEconomics(経済)を組み合わせた造語ですが、現在の閉塞感を打ち破り、企業や社会を活気づける大きなカギになると熱い注目を集めているのが、働く女性たちの活躍「ウーマノミクス」です。「あったらいいな」を探す眼は、生活者目線に立った女性の視点が欠かせません。最近良く売れている「ノンアルコールビール」、話題の「メガネなしで観れる3Dテレビ」等は、女性の発案ですし、新しく車を購入する際には、家族の中でも特に女性の意見が重要視されているようです。

他の先進国に比べて、結婚や出産を機に仕事を辞めてしまう女性が非常に多く、“埋もれた資源”とも言われる日本の女性たち。女性の就労が拡大すれば、生活者の視点から斬新で多様なサービスや商品を生み出して企業に活力を与え、さらに手にした収入で消費をけん引するという“ウーマノミクス旋風”を巻き起こすと期待されています。家庭も仕事も、どちらも同じくらい大切ですが、泣く泣くどちらかを犠牲にせざるを得なかったのが今までの社会です。ところが、その両立を現実させる企業が生まれ始めています。老若男女全てが能力資質を最大限に生かして働ける社会。90年にIBMと花王がいち早く女性活用の専門組織を設置し、その後、松下電器・みずほ銀行・日産・シャープ・東芝と続きました。きらめきライフ推進室等の名称で女性活用の専門組織を立ち上げ、女性の活躍が期待され、企業の大きな潮流となっています。

最近の商品の購入先を調査しますと、食品は「食品スーパー」、家電製品は「大型専門店」、日用品は「中・大型専門店」と「ショッピングセンター」が中心です。そして、ネットでの購入割合も高くなっています。食品購入のポイント調査によりますと、「品質・鮮度」(65%)がトップとなり、「価格」(19%)、「安全・信頼」(12%)と続いています。また日用品では「価格」が60%超と最も重視されており、衣料品では「価格」のほか「ブランド・デザイン」と「品揃え」も重視される傾向です。価格重視から品質・デザイン・ブランドなどのさまざまな点を考慮して「お値打ち感」があるかをトータルで判断しているといえます。家計を握っている主婦の消費動向が売れる・売れないの大きな要素になっていますが、その動向をいち早く察知するのがウーマノミクス(女性経済)です。女性の視点・感性からとらえた価値観と商品づくりと販売手法、また「あったらいいな」をどのような形にしていくのが問われているのです。

米国のように既に女性の就業率が高い国もありますが、そのような国でも、女性の労働生産性の向上が経済成長に貢献すると予測しています。先進国では、女性が働きやすい職場作りに真剣に取り組むことによって、男性もワークライフバランスがとれるようになり、さらに出生率も上昇するという好循環が生まれています。日本でも動き出した「ウーマノミクス」。女性の活用が企業業績の向上につながるかどうか、これからの動向が気になります。