深蒸し茶

2010年3月 茶況_No.257

平成22年3月3日

暖かい雨が降り、茶園は潤いを取り戻しました。生産者は年間の作業計画を作成して、天候を見極めながら茶園の管理作業を進めています。県内全域にカンザワハダニによる病害虫発生注意警報が出されました。3月下旬から4月中旬にかけて日当たりの良い場所に集中的に発生することが予想されますので警戒が必要とのことです。被害を受けますと品質・収量にに影響しますので体系的な防除とこまめな茶園巡回が望まれます。指導機関は早めの工場補修や機械整備、防霜ファンの点検や春肥の準備の徹底を呼び掛けます。各地区では生産者大会や良質茶生産、安全な茶生産のための研修会を開催して新茶期に備えます。

産地問屋は2月決算のところが多く、棚卸にて在庫量を把握しながら新茶の販売に向けて情報収集と商品企画を積極的に進めています。前年の売上を確保できない状況が続き、先行きに大きな不安を感じます。一番茶は適正在庫と思われますが、二番茶は過剰在庫のまま推移しています。リーフ茶の販売が苦戦するなか、多様化する消費者の好みを考えながら需要動向を見極めて、販路の維持と新規顧客開拓は必要不可欠な要素です。販路拡大に向けて、また現在進行中の企画商品の動向を探るためにも、各問屋は展示会等に積極的に出店しています。長期にわたる消費低迷の影響から、消費者の節約志向にかなった商品や健康志向食品に注目が集まり、特にメタボリック症候群への関心は今後も高まるとみられることから緑茶の効能に期待する声も数多く聞かれます。スギ花粉症の季節を迎え「紅ふうき」の出荷が上向いています。ぜひご利用ください。

消費地では新茶に向けての準備を進めながら、消費者ニーズにそった商品企画を検討しています。最近は、若い主婦層、子供を中心に冷たい緑茶の人気が高いことから、家庭用でガラスポットに緑茶をつくり、冷蔵庫に保存していつでも飲める「冷緑茶」を積極的にすすめているお店もあります。その際、その日のうちに使い切ることも必ず説明します。

緑茶の販売量向上で鍵を握るのは消費者と常に接する茶専門店とする調査・分析結果を静岡県立大学の岩崎邦彦教授が指摘しています。好業績の茶専門店には共通する経営姿勢があります。 ①リピーター確保策など顧客との関係性構築に力を入れているお店 ②顧客への提案・助言を重視するとともに顧客の声を積極的に聞いているお店 ③女性が活躍しているお店 ④店舗が快適で明るく清潔なお店、の4点をあげています。

ここ数年、来店客数や売上高が下がり続け、業界の苦境が際だってきています。消費者の財布のひもはますますかたくなっていますので売り方をかなり工夫する必要があります。私が尊敬し目標とする社長は「やればできるんだと思い実際にやること。売るためにやることは実はたくさんある。それが成果の源となる」とおっしゃっていました。印象に残る言葉で、忘れることはありません。

 

売れています !!

紅ふうきティーバッグ(3g×12入) 350円  30袋入/ケース

 

「これでいいのか」を常に問う

 

世界に向けて日本の顔ともいうべき企業JALが経営破綻して企業再生の途上です。老舗の百貨店も店舗の閉鎖を進め昔の元気はありません。通信販売で誰もが一度は買ったことのあるセシールもネット販売の楽天、店舗販売のユニクロに敗れて、今はその名前すら聞くことはありません。

いかなる過去の強者・覇者・繁栄をほしいままにしてきた店や企業といえども世の中の変化の中で変化対応能力を失い、自己革新ができなければ衰退を余儀なくされ、滅び去っているという事実を、あふれ返るような事例をもって知らされます。商業の世界の栄枯盛衰の歴史法則のすさまじさを素直に受け止めなければなりません。かつて小売業日本一の座にあったダイエーが、そしてそれと並び称せられた西友が、今どうなっているのか。この盛者必衰、勝者必滅の姿は百貨店においても専門店チェーンにおいても過酷といっていいほどの厳しさをもって目の当たりにすることができます。物事に不変なものはないようです。企業は常に崩壊があることを承知し、それを未然に防ぐために必要な条件を絶えず求めて、その行為が社会の目、消費者の評価によって裁かれていることを知る必要があります。時代の変化、その中での市場や社会の変化、消費者の視点に対応できなくなったものが自滅しているという事実です。変化の中でも特に注目しなければならないのは市場の変化、イコール消費者ニーズの変化です。その求める満足と価値の中身が変わり、要求のレベルをどんどん高めていくということです。競争のありようもまた変化し、商品の寿命や繁盛店の寿命も、どんどん短縮化しています。今日行列店・明日閑古鳥店、昨日ヒット商品・今日死に筋商品といったことは日常茶飯事です。すさまじいばかりのこの変化に対して適応していくためには、自己革新以外に、他に何の方法もあり得ないことを強く認識する必要があります。われわれの最大の競争相手は同業他社ではなく、変化する消費者のニーズこそが最大の競争相手であることを認識することです。常に自分自身のありようを変え続ける努力を怠りなく継続することであり、それは自分との戦いでもあります。生命世界における適者生存の掟は商いの世界にもそのまま通用するほどにすさまじいものがあります。一瞬の進化の停滞は生存をすら危うくします。そして、世の中の変化に対して対応・適応できないものは例外なく滅び去っていくという現実です。変化対応こそが経営を持続させる根幹であり、現在の状況を「これでいいのか?」と常に第三者の目を持って問うことが不可欠になります。そして、自分が今どこにいるのか、どちらに向かおうとしているのか、その方向は果たして正しいのか、時代の要求・社会のニーズとズレてはいないのか、を客観的に見る姿勢こそが大切です。

世の中の変化はなんとすさまじいものであると思いながら考えることが多いのですが「知っていながら、なぜやらぬ」という言葉があるように、実践しなければ何にもなりません。あとは徹底があるのみです。そして、過去の成功は決して明日のそれを保証するものではないことを自覚することです。