深蒸し茶

2014年7月 茶況_No.300

平成26年7月10日

二番茶の摘採を終えた茶園では防除や整枝などの茶園管理作業が進められています。気温と湿度の高い日が続きますと輪斑病や炭ソ病が発生しやすくなりますので整枝直後の防除が必要になります。また指導機関ではウンカ・スリップス・ハマキ・シャクトリムシなどの発生を警戒して丁寧な観察と適時防除を呼び掛けています。来年の一番茶の芽を揃えるために二番茶摘採後に中刈り更新をする茶園も多く見受けられます。今年は二番茶の始まる前から軟調相場が予想されましたので、一番茶摘採後に深刈り更新する茶園が例年以上に多く見受けられました。予想されたとおりの相場展開に終始して、終盤は採算ラインを割って製造を中止した工場もありました。茶農家は畑に既に肥料を入れ管理して先行投資しているだけに大変に残念な結果です。円安により重油も肥料も値上がりしていますので経営はますます厳しさを増しています。何故急に、このような状況になってしまったのでしょうか。繰越在庫が例年より多かったこと、急須を使って飲む需要が年々減少していることも大きな要因のひとつですが…。総務省の家計調査から推測しますと一世帯当たりの茶類の購入状況はこの10年で茶葉が3割減り、ペットボトルや紙パックなどの茶飲料が3割増えています。ですから、お茶に支出する金額は変わっていません。茶飲料の原料は安価な二番茶や秋冬番茶が主体となり相場を押し下げる要因になります。現状を分析して早急に対策に乗り出すことが急務です。

産地問屋は仕入した二番茶の整理や消費動向を探りながら販売計画を立てています。そして消費地と情報交換を進めながら販売戦略を練ります。急須でいれるお茶の消費低迷が続き、消費増税も足を引っ張って販売状況はひじょうに厳しい状況です。「ライトを照らさず暗闇を走らせる車のようだ」との声も聞かれます。経営者は不調の原因を得てして他の要因に転化しがちですが、茶業界全体で消費拡大策を考える必要があります。現代生活にマッチした新たな茶の提案、簡便に飲用できる茶商品の開発、認知症予防など茶の機能性の広報活動など。消費者は多様な商品を求めています。消費者が注目する茶関連商品はティバッグ・粉末茶・国産烏龍茶など茶商が邪道だとして手を出さなかったものばかりです。時代の変化に対応できない流通業者は今後、淘汰される道に入りました。消費環境の変化に素早く対応できる企業だけが生き残れる厳しい時代です。消費地では「中元商戦」を終え、真夏に向けて「水出し煎茶」など夏用商品をPRして売り込みに力を入れています。中元商戦は前年比やや低調のようでしたが、新茶シーズン後の販促ツールとして夏の「水出し煎茶」を前面に出して販売活動をしています。お茶が水で抽出できることを知らない消費者も多く拡大の可能性は充分にあります。冷蔵庫に入った冷茶を飲むことに抵抗はなくなっていますので、家庭で冷蔵庫に入ったハンディークーラーのお茶を飲む習慣など、新しいアプローチも必要ではないでしょうか。ある取引先の社長が「信頼を築き、地域に必要とされるお店にならないと生き残れない」と熱く語ってくれました。環境の変化にトップ自らが素早く対応するお店が飛躍の原動力と強く感じ、すぐに実践の必要性を強く思いました。

 

 

価 格 帯

 

6/10から始まった、二番茶は6/27までに採算割れに近い水準まで下がり終始軟調相場の展開で終了しました。今年は茶期中雨が少なく空梅雨で推移しましたので、例年は4日~5日雨による中断が入るのですが、今年は2回の中断で順調過ぎる位に進み終了を迎えました。始まる前から相場安が伝えられたために一番茶後に茶園の枝を刈り落とす深刈り更新する茶園が多く、山間部では二番茶の生産をやめる工場もあったりで需要低迷を色濃く反映した結果でした。昨年が大幅な増産でしたので生産量は前年比では20%前後の減産ですが平年並みの生産量に落ち着いたようです。当社の二番茶の価格帯は下記のとおりです。

 

 

前年対比仕入K数  94%      仕入金額  80%

前年対比(平成25年を100とした場合)
300円 売以上   8 %

250円 売      6 %

200円 売    36 %

150円 売以下   50 %

40 %

40 %

62 %

226 %

100 %

 

 

梅雨らしからぬ湿度の少ない天候に加え、夜温が上がらず一番茶時のような涼しい日が続きましたので夏茶臭やコワ葉臭のする製品は少ないように感じました。上物が少なく下級物が極端に多いドリンク主流の価格帯となりました。下級茶はドリンク関連業者が主体となって相場を形成するのですが、今年は昨年産の在庫も豊富にあったために途中で息切れして買いささえることはありませんでした。終盤の価格は採算割れに近い水準まで下がり、製造を中止した工場もありました。金額では2割~3割減と生産農家にとっては厳しい二番茶でした。先行きに明るい材料はなく廃業・解散を選択する工場も出てきます。例年三茶を製造する工場も売り先がないとの理由から、注文分以外は生産しない方針です。供給が減って今後の展開が少しでも明るくなることを期待しています。

 

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