深蒸し茶

2009年8月 茶況_No.251

平成21年8月31日

茶園では朝夕の涼しい時間帯に茶園管理を進める生産農家の姿が見られます。茶園の乾燥状態をチェックしながら秋肥の準備や良質茶生産の基本となる根の張りやすい土づくりなどの重要な管理作業を進めています。また、指導機関は暑さの残る茶園での病害虫発生に注意を呼びかけています。次世代を担う若手生産者は積極的に研修会などに参加して良質な茶づくりを学んでいますが、茶価低迷、農地荒廃の折から、レタスや果実など他の農産物との複合経営も模索し始めています。「最終的には消費者の評価がすべて。生き残りをかけて持続性の高い経営戦略を探ることが大切」や、「茶葉の需要が縮小している以上、言葉は悪いがよそを蹴落としてでも生き残るために、品質と付加価値で勝負する」との厳しい声も聞かれます。9月中旬から秋冬番茶の摘採を行なう予定ですが、燃料高騰分が上乗せされた昨年の単価は望めないことや、荒茶価格300円~330円位との声も聞かれますので、受注生産や生産を見合わせる工場も出てきそうです。

産地問屋は仕上作業と補充注文に対応しながら消費地との情報交換に努めています。昨日の選挙で自民党は歴史的惨敗をして、日本の政治システムは一大転機を迎えることになりました。失業率の上昇ペースや内外需を組み合わせた新たな成長エンジンの不在などの先行き不透明感が増して、「日本の経済システム」の立て直し策を民主党に託すわけですが、新たな解決策は期待できません。静岡3区選出で茶業界の重鎮である柳沢伯夫(日本茶業中央会会長)氏も逆風には勝てず落選しました。業界の一段の悪化を懸念する声が強まっています。JA静岡経済連によりますと、今季の一番茶と二番茶はどちらも10%前後の減産にもかかわらず、平均単価はともに平成に入って最低となりました。消費減退による平均単価の下落は避けられず、早急な対策が求められています。

消費地では残暑が続いており、冷茶などの接茶をしながら、店頭販売に努めています。また、秋の需要期をにらんで、「秋の売り出し」等の企画の準備も進めています。7月の失業率は過去最悪の5.7%となり、3ヶ月連続で過去最悪を更新しました。正社員の削減が加速して40歳前後の失職も目立ちます。

景気低迷による消費不振の影響で何が売れるのかわからない時代、得した感のあるものしか売れない時代に入り、顧客との信頼関係が改めて重要視されています。