深蒸し茶

2009年7月 茶況_No.250

平成21年7月10日

二茶摘採を終了した茶園では、一服する暇もなく防除などの管理作業に取り組んでいる生産農家の姿が見られます。梅雨時の晴れ間を見ながらの作業になりますが、二茶摘採後の樹勢回復に努め、またウンカ・スリップスやチャハマキなどの害虫の発生時期にあたりますので、適切な管理が必要です。二茶最終の取引価格では三茶、秋冬番茶の採算割れが予想されますので、二番茶で生産を終了する工場もあります。終了する工場では、工場や機械の整備と清掃を行ない 来年に備える工場も出始めています。今年の二番茶は減産が確実視されているにもかかわらず、取引価格は振るいませんでした。生産者の将来に対する危機感は強く、収益減に伴う生産意欲減退を懸念する声が相次いでいます。茶価低迷は年を追うごとに厳しさを増して、茶業経営はギリギリのところまで追い詰められています。

産地問屋は仕入れが終わり仕上・発送と、仕入れした二番茶の仕分け作業をこなしています。仕入れは終了したが売り上げが伸びないとの切実な声も聞かれます。ここに三つの話題があります。一つは6月4日に開港した静岡空港です。開港してからまもなく1ヵ月。搭乗率は国内線が73%、国際線は59%で、全体では68%と非常に厳しい数字となっています。目標搭乗率を大きく下回る状況が続けば、便数や使用する航空機を見直す必要がありますし、不振の上海線は中国東方航空が秋以降の撤退の可能性を口にしています。もう一つの話題は、磐田市に6月25日に開業した大規模商業施設「ららぽーと磐田」です。175店舗の専門店が入り、駐車場は3,500台分あり、年間売上目標は220億円です。ららぽーと磐田の建設をめぐっては、磐田市の商店会はもちろん、隣市の浜松商店会からも計画再考の要請を受けていましたが、約5万平方メートルの大規模商業施設は開業しました。掛川市も含め近隣の商店の売上減は避けられず、厳しい状況に追い込まれています。最後の話題は全国で注目を集めた静岡県知事選挙です。民主党推薦の川勝平太氏が自民推薦の坂本氏を破り初当選しました。最後の最後まで競り合い、0.8ポイント差の大接戦でした。民主党は名古屋・埼玉・千葉・静岡と主要地方選に4連勝して政権交代への大きな弾みとなりました。そして今回注目を集めたのが当社オリジナル商品「当煎茶」です。当選の一報が入って喜ぶ選挙事務所では、早速「当煎茶」を手に乾杯したわけですが、この写真がNHKテレビ他、民放の全国ニュースで流れ、中日新聞、静岡新聞の一面を飾りました。

消費地では「中元商戦」の後半戦を迎え、店頭販売と地方発送に対応しています。冷茶のサービスをしながら、冷茶のつくり方の説明や水出し煎茶の販促に努めています。ボーナス減と消費低迷による影響から売れ行きは鈍く、苦戦が続いています。

 

価 格 帯

 

今季の二茶取引は相場が振るわず、商いは終始低調で買い手の消極姿勢が目立った茶期でした。荷主からは「買い気が弱く、全量売り切れるか不安な日が続いた」とのやりきれない様子と、あきらめともとれる声も聞かれました。減産が確定的になってからも買い気は弱く、だらだらとした下げ相場が続きました。茶価低迷の要因については、会社・工場・業務用茶の激減と、販売不振による問屋の買い控え、ドリンク関連の在庫過多があげられています。一番茶後の中刈り更新の積極的な実施やミル芽を追った前倒し生産、極度の相場安から生産を途中で打ち切る工場もありましたので、前年比10~15%の減産が予想されます。当社の二番茶の仕入価格帯は下記のとおりです。

二番茶価格帯 (前年対比 仕入k数119%、仕入金額94%)

仕 入 比 率 前年対比(平成20年を100とした場合)
   300円売    15% 41%
250円売    10% 50%
200円売    38% 160%
150円売    35% 3,000%
120円売     2%  
100%  

 

当社の仕入は数量で前年比119%となりました。当社の場合は専属の契約農家の比率が高く、一番茶は買って二番茶は買わないというわけにはいきません。一番茶と同じ比率で二番茶も入荷しますので19%増という大きな数字になりました。これからの販売に必死です。

ドイツでは百貨店という業態が時代遅れで、終わりを迎えたといわれています。日本でも百貨店の売上減少が止まりません。2月から6月まで5ヶ月連続の2ケタ減です。消費者が財布のヒモを締め、衣料品や雑貨など不要不急の商品を買い控え、買う場合も低価格で済ませていることが原因です。食品などの消耗品でも低価格志向は強まり、品揃えと価格に訴求力を持つ大型専門店や食品ディスカウントチェーンが台頭してきています。政治も経済も大きな転換点を迎え、すべてが変わっています。生き残る条件はすべてを一から見直すこと。「あったらいいな」を自身に繰り返し問い、変化できる企業だけが生き残れる時代が来ています。そして、市場縮小のもと、寡占化と再編は避けて通れない状況です。

商 品 名 入 目 卸 単 価 1ケース入数
水出し煎茶TB 80g(5g×16) 450円(税別) 30本
有機栽培茶「春野」 100g袋入 520円( 〃 ) 20本
秋摘み番茶 200g袋入 250円( 〃 ) 30本
ハンディークーラー 1,400ml入 780円( 〃 ) 24本
当煎茶(*) 190ml入 1,890円( 〃 ) 30本
  • 当煎茶は重量物のため、通常の緑茶とは別料金体系(省略) の送料となります。
  • 同封の「冷茶のしおり」が必要な方はご連絡ください。(無料)