深蒸し茶

2009年2月 茶況_No.247

平成21年2月27日

不安定な天候が続く中、生産農家は施肥などの新茶に向けた管理作業を続けています。このところの連続した降雨で茶園は潤い園相は良好です。寒暖の差の激しい毎日が続きますので、その変化に注意しながら茶園巡回をして畑の状態を確認しています。今年の相場展開は厳しくなることが予想されるだけに、日々の茶園管理に励んで良質茶をつくる意欲は例年以上のものが感じられますが、品質が茶価に反映されない現状に対する不満の声も耳にします。

産地問屋は在庫を調整しながら消費動向の情報収集に努めています。農水省の新規事業「農商工連携」による新技術・新商品・新販路などを生産農家と一緒に考え、「売れるお茶」づくりへ試行錯誤の打ち合わせを続けています。価格競争だけでは消耗戦になることは目に見えていますので、生産農家・機械メーカーとの連携によって消費の新たなニーズを引き出す工夫がなされ、新商品につながればと期待します。家計調査によりますと、昨年1年間の1世帯当たりの緑茶の購入数量は992g、支出金額は5,073円と、いずれも5.7%減となり、過去5年間では数量・金額ともに最少の結果でした。特に新茶時期の5月の落ち込みがひどく、過去4年間の平均から30%落ち込んでいます。販売不振の原因について、新茶の季節感の薄れを指摘する声も聞かれます。今年の新茶商戦も明るい材料は見当たりません。相場を決定する2大要素は在庫状況と需給バランスですが、今年の場合はそれに加えて資金調達という大きな問題を抱えています。1年間分の荒茶を確保するための資金を金融機関から調達できるのか。資金繰りを考慮しながらの仕入れとなりますので、どうしても弱含みの展開が予想されます。

消費地では、このところの悪天候から来店客数に影響が出ています。家庭用茶とパーソナルギフト関係を主に、他店にはない魅力をつくるための企画を練ります。特にパーソナルギフトの購入先については近隣の専門店、百貨店、大型スーパーの順という調査結果も出ていますので、「パーソナルギフト」の強化が重要です。自店の良さをPR するとともに、具体的なアドバイスをいただくためにお客様の有志でチームを立ち上げているお店もあります。アドバイスチームの例会を月2回程度開催して新商品や店舗についてのアドバイスを伺い、店舗運営に生かすわけですが、顧客を巻き込む手法でクチコミ宣伝にもなっているようです。年末年始商戦も消費不振の影響が色濃く出て期待はずれでした。これから期待される商戦は「八十八夜新茶」の予約受注になりますが、ワインの「ボージョレヌーヴォー」同様に店頭での雰囲気づくりと営業活動は欠かせません。上級茶をすすめる最大の機会にもなりますので、各店ともにその企画と準備を真剣に進めています。衣料品・外食などは節約志向の高まりで厳しい状況が続きますが、家庭内での食事が増えていますので鍋物料理の材料など内食に関係する商品は好調のようです。お茶を中心にした「家族団らん」の場の提案や、気持を伝えるための「お茶によるおもてなし」の提案など不況に強いお茶をアピールする必要を感じます。

 

好 評 発 売 中

紅ふうき 3g×12個入 350円(税別) 1ケース30本入 花粉対策
缶入り「当煎茶」 190ml×30本入 1,890円(税別) 1ケース30本入 選挙用
「当煎茶」TB 5g×80個入 1,080円(税別) 1ケース 5本入  〃

*上記商品には送料が別途かかります。係までお問い合わせください。

 

不安な時代の安心感

 日本経済は戦後最大の危機を迎えています。10~12月期のGDP(実質国内総生産)は前期(7~9月期)比12.7%減と大幅な下落率を記録しました。今年1~3月期のGDPも2桁台のマイナスが間違いなく予想されます。すでに今年1月の輸出は前年同期比46%減となっており、この動きはさらに加速しそうな情勢だからです。輸出の減少は日本企業をどんどんと減産に追い込み、金・土・日の週休3日は当たり前、中には3勤4休の企業まで出始めました。先進国も新興国もいっせいに不況に突入し、輸出頼りの日本は総崩れの状態です。大企業も売り上げは急減して収入はガタ落ち。赤字決算の会社が続出している状況です。それでも給与などの運転資金は必要となり、在庫管理やリストラにかかる運転資金は逆に増える傾向にあります。大企業がこんな状態ですから、財務力の乏しいすそ野の中小企業は資金繰りが一気に苦しくなっています。

景気悪化が鮮明になってくる中で、苦しいのは輸出産業ばかりではありません。消費不振の嵐が強まる中、流通各社は生き残りの道を模索しています。期待した年末年始商戦での消費者の財布のヒモは固く、前年と比べた売上高は過去最大の落ち込みを記録しました。業績挽回を焦る各社は空前の安売り競争に突入しました。今や高級ブランドからファーストフードまであらゆる業種が低価格競争を繰り広げています。モノが売れない状態が続くと企業業績が悪化して残業代やボーナスの削減に続き、給与も下がって一段と景気が悪化するデフレスパイラルの前兆です。今、人々の間にはさまざまな不安が広がっています。その際たるものは雇用不安ですが、所得減の不安、年金の不安、食の安全に対する不安、医療に対する不安、そして将来への不安、中小企業の経営者は仕事量が減る不安、資金繰りの不安、倒産の不安と、世の中はまさに「不安の時代」を象徴しています。

すべてに明るい材料がなくなった日本経済ですが、そんな中でユニクロ・サントリー・マクドナルドなど元気な企業もあります。「なぜユニクロだけは売れているのですか」との問いに柳井社長は「『価格は低いけど品質がいい』とユニクロを選ぶ人が以前より増えたと感じる。節約志向は特にシビアになったが、安いだけでは売れない。価格と品質のバランスで価値を感じてもらえる商品が重要だ。消費者の心に響く商品やサービスを常に打ち出して続けて『あったらいいな』をつくりだすこと。それが大事だ」と説明しています。

モノのあふれる時代、多様な志向を持つ消費者の需要を掘り起こし続けない限り、メーカーも小売りも生き残りは厳しい時代が続きます。品質でも価格でも安心して買い物ができる店という期待が消費者にある限り、その店に行けばいつでもまともな商品を安心した価格で購入できるという「安心感」を提供できるお店になることが大切です。